6月も株価が暴落? 海外投資家が破産危機で国債市場が大混乱! 安倍政権は大丈夫か?
政府からの要請で上場企業のボーナスは幾分増加する(自動車産業だけは突出して増えるが、これは例外)にせよ、マクロ的な家計所得が増えるわけではない。個人消費に弾みがつくというシナリオは描きにくい。設備投資の回復も、当面、限定的になる。円高に振れたら目も当てられない。輸出関連銘柄は下げる。
●“成長戦略ショック”で株価は下げるのか?
6月14日、成長戦略が閣議決定される。この日は6月物の先物・オプション取引のSQ(特別清算指数)の算出日だ。SQに乗じて、米ヘッジファンドの大規模な売り崩しが入るのではないかと懸念されている。
閣議決定される成長戦略では迫力不足。経済成長率を大きく高めるとは思えない。日本文化を海外に広めるためのクールジャパン戦略も、海外需要開拓機構の設立以外は評価できる内容ではない。日本食の伝道師を育成し、各種イベントで茶道を披露など、行動計画の名前にも値しないという声が出ている。稲田朋美クールジャパン戦略担当相も影が薄い。永田町では、安倍内閣の女性閣僚は全員迫力が不足している、と酷評されている。
アベノミクスの第1の矢の金融緩和は、国債の利回りの急上昇(価格の下落)により、黒田・日銀総裁の手法に疑念が生じている。
第2の矢の財政刺激策も、5月27日に「財政制度等審議会」が、財政再建を求める報告書を麻生財務相に提出した。財政規律の重要性が指摘されたわけだ。「骨太の方針」に財政規律が盛り込まれる方向になり、自民党は慌てている。
これ以上、国債市場を混乱させないために、安倍首相は10月に消費税の引き上げを決断せざるを得なくなった。
6月の成長戦略が大したものにならなくても、参議院選で自民党が大勝して、安倍首相のリーダーシップが強まれば、選挙後に本格的な構造改革策を実施するだろうとの期待は残る。この期待まで裏切られると、アベクロ(安倍&黒田)金融緩和は完全に空振りとなる。
日本維新の会の失速で、安倍首相は憲法改正に早期に着手できなくなった。連立与党の公明党も憲法改正には消極的だ。だから、経済政策に本気で注力しなければならなくなる。これが空振りだと、もう完全にアウトだ。
経済財政諮問会議は、政権主導で「骨太の方針」の取りまとめに入った。「第4の矢」として、財政健全化に取り組む方針を確認した。「停滞の20年から脱却し、回復の10年へ転換する」が基本概念なのだそうだ。主張は言語明瞭だが、ここでも中身が伴わない。3本の矢と財政再建の両立。言うのは易しいが、行うのは難しい。
ウォール街が期待する法人減税、労働市場改革、企業統治の強化、規制緩和のどれにも「第3の矢」はほとんど、かすらないかもしれない。
「第3の矢」の内実は、規制緩和に逆行する政府の介入の強化だという辛辣な見方がある。ベンチャー育成での政府審査、政府系ファンドの活用は、政府による特定産業のテコ入れ策にほかならないとの指摘だ。これでは、経産省を焼け太りさせるだけである。
(文=編集部)