6月も株価が暴落? 海外投資家が破産危機で国債市場が大混乱! 安倍政権は大丈夫か?
日経平均は5月22日に年初来の高値、1万5627円をつけた。2007年2月の取引時間中の高値(1万8300円)と08年10月の安値(6994円)を考えると、下げ幅(1万1306円)の77%を戻したことになる。
東証株価指数(TOPIX)と26週移動平均線との乖離率を見ると、過去60年間で3番目に大きい乖離となっていた。日本株は歴史的にもまれな「買われ過ぎ」状態となっており、反動による調整局面が近づいている、と見るべきだった。
調整局面入りのきっかけは、円安修正の動きか米国株の下落。あるいはその両方だろうと見られていたが、これに中国の景気変調の加速と金利上昇(1%)が加わった。
5月の東京株式市場は、4月まで続いた月間ベースでの連続高記録が9カ月で途切れた。1143円安、737円安の2度の暴落を経て、5月の日経平均株価は4月末比で80円安の1万3774円で取引を終えた。
アベノミクス相場の第1幕は終わった。急落の短期的なリバウンドを経て、日経平均はさらに下落するだろう。5月30日は737円安の1万3589円。日経新聞が盛んに言ってきた「1万4000円の壁」など嘘八百だった。こんな壁は簡単に破られ、株価はさらに下げた。直近の高値から2000円(最安値で2500円)近く下げたことになる。5月30日は前週に続き魔の木曜日となってしまった。午後に、先物から売り崩されるパターンが続いている。もちろん、先物を売っているのは外国人である。もう一度、魔の木曜日(6月6日の暴落)がある、と信じられているが、どうなのか。
外国人が、先物ではなく、現物株をどの程度売っているかがポイントになる。先々週の投資主体別売買動向では、海外投資家は3週ぶりに売り越したが、売り越し額は44億円と思いのほか小幅だった。しかし、よくよく考えると、先々週は水曜日まで上昇していたのだから、外国勢が売ってきたのは木曜日だけということになる。海外投資家の現物株の売りがどの程度の規模かの実態は、先週の投資主体別売買動向を見ないとわからない。
先々週は個人投資家が4080億円の大幅な買い越し。出遅れたと焦って買いを入れた個人が高値をつかまされた。まったくいつものパターンの繰り返しだ。一方、信託銀行が4658億円売り越している。急落直前に、個人投資家が大量に現物株を買ったということだ。魔の木曜日の2度の急落で、個人投資家の多くは5月の値上がり分はすべてが吹っ飛んだ。それだけ個人投資家のダメージは大きい。
個人投資家は苦しい立場だ。「円安=株高」のシナリオの下、日本株を買ってきただけに、円安修正(1ドル=100円)は大きな株価下落要因になる。
「6月にまとまる成長戦略が株価反転の手掛かりになる」と日経など全国紙は書くが、その成長戦略そのものが期待薄なのだ。株価材料としては「中立」以下。下手をすると再び売られる原因になるかもしれない。“成長戦略ショック”の大幅な株安を予想する向きが増えている。
5月は急落前に、日経平均は1カ月で2つの大台替え(1万4000円台と1万5000円台)を果たした。1カ月の間に2つの大台替えを演じたのは、今から27年前の86年3月だった。この時は、日本レースなどを手掛けていた大物仕手筋、三洋興産が経営破綻した。東洋端子、オートの東証2部銘柄も連鎖破綻し“三洋興産”ショックとなった。
今年も6月が危ない。先物を売っている外国投資家(ヘッジファンド)の経営破綻説が出ている。
これは個人投資家と機関投資家の関係に似ているのかもしれない。5月の買い主体は個人投資家。先行していた米ヘッジファンドは、5月には日本株関連(ETFを含む)の建玉をすべて売り切っている。日本株を買いそびれていたドジな(失礼!)米ヘッジファンドの一部が慌てて日本株やETFを買っていたが、こういう連中が個人投資家同様に窮地に陥っているというのだ。株に注力して、仕手筋のようにバタバタと株を売買した上場企業と海外の中堅の投資ファンドの経営破綻があるかもしれない。
円安によって利益が増えるのは、基本的には一部の上場企業の話であり、非製造業、特に中小企業の利益は大幅な円安でむしろ悪化する。