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サントリーに不買運動…広告に「ひろゆき」氏、過去に訴訟での損害賠償を不払い

文=Business Journal編集部
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サントリー「伊右衛門 特茶TOKUCHA」(「amazon.co.jp」より)

 サントリーの特定保健用食品「伊右衛門 特茶TOKUCHA」は現在、実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏を起用した広告キャンペーンを展開。西村氏はかつて特定保健用食品のお茶を飲んでも脂肪は減らないと主張しており、広告にその西村氏を登場させつつ主張に反論するというユニークなものだが、同氏といえば過去に自身に起こされた民事訴訟で計約30億円の損害賠償を請求されたが支払わずに踏み倒したことを公言している。このほか、3月には米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏の不正送金問題をめぐり<大谷氏は水原氏の違法賭博の借金を男気で肩代わりし大谷氏自ら送金>との憶測をX(旧Twitter)上に投稿。こうした過去の言動もあり、広告で西村氏を起用したサントリーに対し、X上では「#サントリー不買運動」というハッシュタグとともに批判の声が広まっている。

 2004年に発売されたお茶飲料「伊右衛門」は年間5700万ケースも売れるサントリーを代表するブランド。京都の老舗茶舗「京都福寿園」の茶葉を利用しており、今年3月には味を刷新。茶葉量は従来の1.5倍、旨み抹茶は3倍、カテキン約2倍、コク約3倍にリニューアルされた。

 その伊右衛門ブランドの一つ『伊右衛門 特茶TOKUCHA』は、「体脂肪を減らすのを助ける」特定保健用食品として13年に発売され、長きにわたりトクホ茶No.1の座を維持。脂肪分解酵素を活性化させ、日常の身体活動による脂肪を代謝する力(脂肪の分解・消費)を高めるケルセチン配糖体を含んでいるのが特徴だ。

 ちなみに今問題となっている小林製薬が販売する「紅麹(べにこうじ)」の成分が含まれた健康食品は「機能性表示食品」であり、メーカーは国の審査を経ることなく届け出のみで販売することが可能。一方、「伊右衛門 特茶TOKUCHA」が属する特定保健用食品、いわゆるトクホは、国の審査を受けて承認を得ないと販売できない。

 その「特茶TOKUCHA」は現在、「特茶クエスト」というキャンペーンを展開。ポスターには、かつて西村氏がYouTube動画で「トクホのお茶(特茶)を飲んだとしても脂肪っていうのは減りません」と発言した際の映像写真が掲載。さらに大きな文字で「ひろゆきさん、こちらにはエビデンスがあるんです」「こういう言葉に惑わされずに、これからも体脂肪対策を続けていってくださいね」と綴られている。加えて、電車広告用ポスターでは中央に大きく西村氏の顔写真が掲載され、「ひろゆきは 特茶を みつめている…」「体脂肪対策って時代ですかね?を となえた」と綴られている。

時効消滅を利用

 商品への批判を逆手に取ったユニークな広告といえるが、西村氏といえばかつて、管理人を務めていたネット掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」をめぐり、特定の個人などの名誉を棄損する投稿を放置した責任を問われ複数の民事訴訟を起こされ、計約30億円の損害賠償を請求されたが、支払わなかったことで知られている。判決が確定した日から10年間で時効消滅するという法律の定めを利用したもので、西村氏は昨年2月にX上に

<賠償金を払わないのは合法です。10年経つと払わなくて良いと民法に書いてありますよ。それが嫌なら法律改正すべきです>

と投稿。たびたびメディアでも踏み倒したことを公言しており、<あれは悪いとまったく思ってなくて、法が悪いと思ってたんですよ><僕がお金を払わないのもアリなんですよね>などと語っている。

 ちなみに現在ではプロバイダ責任制限法によって、サイトの管理者はネット上の投稿によって権利を侵害された被害者への損害賠償責任が一部例外を除き免除される。同法が施行されたのは2002年だが、西村氏が「2ちゃんねる」を開設したのは1999年であり、開設当初は同法は存在しなかった。

 このほかにも西村氏は22年、沖縄・辺野古の米軍新基地建設に反対する座り込み抗議運動についてXで揶揄するような発言をしたことで騒動に。座り込みの時間外に現地を訪れ、「座り込み抗議、不屈3011日」などと書かれた看板の横でピースサインをしている写真と共に「誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」と投稿し一部から反発を招いたこともあった。

 また、今年3月には水原一平氏の不正送金問題をめぐりX上に次のように投稿。

<大谷氏は水原氏の違法賭博の借金を男気で肩代わりし大谷氏自ら送金→だが、違法賭博に送金すると大リーグの規約違反と気づく→水原氏が窃盗した事にして回避しようと言い分が変わる→実際には水原氏は大谷氏を騙して送金してはいない>

 今月11日にはX上で<憶測外れてましたー。すいませーん>と釈明していた。

問われるサントリーの社会的責任

 そんな西村氏の広告起用を受け、SNS上では以下のようにさまざまな声があがっている。

<よりによって裁判の賠償金踏み倒してる奴を起用してコンプライアンス大丈夫なのかこの会社>

<沖縄の民意を踏みにじる人を広告塔に使う企業>

<さすがに担当者の頭のなかが心配になるレベル>

<もはや、炎上しても話題になれば売れる、とばかりに意図的に炎上してるんだろうな。こうなってくると本当に会社としての体質だと思うし、売れれば何でもいいという姿勢は受け入れたくない>

<ただでさえ、これだけビンボになったら、ペットボトルの茶、売れなくなるだろうに、なんでわざわざこういう広告出すのかしら?>

<サントリー社長の新浪剛史は、キリンの不買運動から何を学ばないのか、ひろゆきを企業広告に起用するからセンスがなさ過ぎ>

<これでは買える道理がない>

<もうここまで来ると、敢えて煽る事にしたとしか思えん>

<キリンの成田悠輔の騒動をサントリーは他山の石にしなかったようだ>

 広告に起因する騒動としては、今年3月、キリンビールが缶チューハイ「氷結無糖」の動画CMなどに、かつて「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」という主旨の発言をした経済学者・成田悠輔氏を起用し、批判が寄せられたことを受けて当該広告を削除した件が記憶に新しい。

 食品メーカー関係者はいう。

「広告の内容や起用タレントについて社内のどのレベルの決裁が必要かは企業にもよるが、CM・広告が商品の売れ行きを大きく左右し、毎年大量の広告を投下する食品メーカーであれば、おそらく担当役員クラスまでの決裁は仰いでいると考えられる。またサントリーのようなしっかりとした大企業であれば、起用するタレントの経歴や過去に問題を起こしていないかなどを入念にチェックしているはずなので、物議を醸す可能性が高い西村氏のような人物をなぜ起用したのかは不可解という印象を受ける。

 西村氏には彼なりの考えがあって賠償金を払わなかったということなのだろうが、裁判所の判断を意図的に無視してそれに背くという行為は、社会通念上は許される行為ではないとみなされる。一民間企業がどのような広告を打つのかはその企業の自由だが、批判が巻き起こることが十分に予想される内容の広告を、なぜあえてリスクを背負ってまで打つ必要があるのかは疑問。社長が経済同友会で代表幹事を務めるような社会的責任の重い大企業の広告としては、不適切といわれても仕方ないだろう」

(文=Business Journal編集部)

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