日銀は26日、前日に続き金融政策決定会合を開き、短期金利の誘導目標を現状の「0~0.1%程度」に据え置いた。一方、マイナス金利政策を解除した3月の前回会合で「これまでとおおむね同程度の金額(月間6兆円程度)」とした国債買い入れ額については、公表文から記述を削除した。
足元では急速に円安が進行しているが、同時に公表した最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、基調的な物価上昇率が上昇すれば「金融緩和度合いを調整していく」と指摘。ただ、当面は「緩和的な金融環境が継続する」とした。
リポートでは、消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを2024年度は前年度比2.8%(1月時点2.4%)、25年度は1.9%(同1.8%)にそれぞれ上方修正した。今回新たに示した26年度は1.9%とした。日銀は、基調的な物価上昇率は「見通し期間後半には物価安定の目標とおおむね整合的に推移する」と説明した。
午後に植田和男総裁が記者会見し、決定内容を説明する。日銀は3月の会合で、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至ったとしてマイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。さらに、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作を撤廃。13年から実施してきた異例の大規模金融緩和政策を転換した。
ただ、金融市場では米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、円売り圧力が増大。円相場は対ドルで約34年ぶりの水準に下落するなど円安が加速し、経済界などから政府・日銀に円安是正を求める声が上がっていた。
◇日銀決定会合のポイント
一、公表文から国債買い入れ額の記述を削除
一、短期金利の誘導目標0~0.1%程度を維持
一、2024年度物価上昇率の見通しを2.8%に上方修正
一、25年度は1.9%に上方修正、26年度は1.9%
一、基調的な物価上昇率が上昇すれば金融緩和度合いを調整
◇日銀のGDP・物価見通し
実質GDP 消費者物価指数
2024年度 0.8(1.2) 2.8(2.4)
25年度 1.0(1.0) 1.9(1.8)
26年度 1.0 1.9
(注)数値は前年度比増加率%、カッコ内は1月時点の見通し、消費者物価指数は生鮮食品除く(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/04/26-13:25)