政府は22日、デジタル行財政改革会議を首相官邸で開き、無駄遣いの温床との批判がある基金の見直しに関する報告書をまとめた。152基金に基づく全200事業を点検した結果、2024年度までの2年間で15事業を廃止することにしたと明記。残る185事業も精査し、同じ期間の国庫返納額が5400億円超に上る見通しになったとした。
議長の岸田文雄首相は「基金の不断の適正化に取り組んでほしい」と述べた。
廃止が決まったのは、経済産業省の「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」、農林水産省の「地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立事業」など。事業が事実上終了し、管理費のみの支出となっていることなどを理由に判断した。
国庫に返納するのは使用する見込みがないとみる積立金で、23年度分が4342億円、24年度分が1124億円。23年度分には昨年9月に公表済みの3105億円が含まれる。
政府は報告書に、全ての事業に原則10年以内の終了予定時期を設定し、数値目標を設けて成果を検証すると明記。予算を基金に積む場合も3年分程度とし、目標の達成状況を踏まえて予算を追加するか検討する方針を打ち出した。
基金の業務を委託先に丸投げしているとの批判を踏まえ、多くの事業を抱える経産省の新たなルールも記した。個々の補助金審査は国などが行い、企業などに委託するのは書類の形式チェックなどにとどめるとしている。
政府の予算は年度内に使い切るのが原則。ただ、基金に積み立てれば複数年度にわたって支出できる。新型コロナウイルス禍を経て、22年度末の基金の残高は16兆6000億円まで膨れ上がり、有識者から問題視する声が出ていた。
◇基金見直しのポイント
一、基金に基づく15事業廃止
一、使用見込みない5400億円超返納
一、全事業に原則10年以内の期限設定
一、予算積み立ては3年分程度
一、経産省は補助金審査委託せず
◇廃止が決まった基金事業
政府が廃止を決めた基金事業は次の通り。
【復興庁】原子力災害周辺地域産業復興企業立地補助事業
【農林水産省】地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立事業▽経営構造改革緊急加速リース支援事業
【経済産業省】国内立地推進事業費補助金▽次世代自動車充電インフラ整備促進事業▽スマートマンション導入加速化推進事業▽円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業▽廃炉・汚染水対策4事業▽中小企業消費税軽減税率対策事業▽中小企業再生支援利子補給金▽先端低炭素設備導入促進補償制度推進事業
【環境省】産業廃棄物特定支障除去等支援事業
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/04/22-19:56)