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サントリー、安倍政権への政界工作…新浪社長、創業家・副社長を「酷評」

文=編集部
サントリー、安倍政権への政界工作…新浪社長、創業家・副社長を「酷評」の画像1サントリーホールディングス・新浪剛史社長(ロイター/アフロ)

 日本経済団体連合会(経団連)の榊原定征会長(東レ相談役)は3月12日の記者会見で、新任の審議員会副議長にサントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長など7人を内定したと発表した。

 ほかの6人は、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長、積水化学工業の根岸修史会長、IHIの斎藤保会長、日本電信電話(NTT)の篠原弘道副会長、三井不動産の菰田正信社長、アステラス製薬の畑中好彦社長である。

 5月7日の理事会で決定し、定時総会が行われる同31日に就任する。

 副議長は経団連副会長の“待機ポスト”といわれる。そのため、新浪氏は財界活動の舞台を経済同友会から経団連に移し、副会長を目指すのではないかとの見方が広まっている。

 新浪氏は経営者の側面よりも財界活動のほうが有名だ。ローソン社長時代には経済同友会の副代表幹事を務めた。長谷川閑史代表幹事(当時、武田薬品工業社長)の有力な後継候補だった。2014年9月から政府の経済財政諮問会議の民間議員に抜擢された。経済界代表の民間議員は、榊原氏と新浪氏の2人だけ。「同友会の代表幹事は、これで決まった」という声が挙がったほどだ。

 しかし、新浪氏はサントリーHD社長に就いたばかり。移籍先で実績を上げることを優先すべきとして、同友会の代表幹事就任は見送られた。15年、経済同友会の代表幹事には三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長(現会長)が就いた。

 サントリーの佐治信忠会長が新浪氏をスカウトしたのは「プロ経営者」としてではなく、政界工作員としての腕を見込んだからだといわれている。

 同友会副代表幹事の新浪氏は、政権に復帰した安倍晋三政権との関係を深めた。13年1月には産業競争力会議の民間議員、14年9月から日本経済の司令塔である経済財政諮問会議の民間議員を務める。

 当時のサントリー最大の課題は、酒税額統一だった。サントリーに有利なように働きかける政界工作が不可欠で、最大のターゲットは官邸である。

 16年12月8日、自民党・公明党は「平成29年度税制改正大綱」を正式決定した。10年後にビール系飲料などの税額を統一する。10年というタイムラグが設けられたのは「サントリーの政治力」(業界筋)と言われた。

 首相動静によると、ホテルニューオータニで16年10月24日、サントリーが主催する自民党幹部との懇親会が開かれた。サントリーHDの佐治信忠会長、新浪社長、安倍首相をはじめ政権・自民党の要人たちが集った。「まるで閣議だね。集った顔ぶれは」。宴会場から出てきた甘利明元経済産業大臣は、記者団の囲み取材にこう語った。

 サントリーの政治力をまざまざと見せつけた。新浪氏は政界工作者の役割を完璧に果した。

BusinessJournal編集部

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