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ファミマ副会長、自ら創業した会社の上場で30億円を手に?ファミマ社内で疑問の声も

文=編集部
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ファミリーマートの店舗

 リヴァンプは5月25日に東京証券取引所から上場承認を受け、6月29日にジャスダック市場に上場する。2005年9月、「プロ経営者」として知られるファーストリテイリング出身の澤田貴司氏(63)と玉塚元一氏(59)が中心に設立されたコンサルティング企業である。16年、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身の湯浅智之氏(44)が代表取締役社長執行役員CEO(最高経営責任者)に就任して現在に至る。

 リヴァンプと連結子会社4社、持ち分法適用会社4社でグループを形成する。21年3月期の連結決算の売上高は20年3月期比10.7%増の76億円、純利益は34.3%減の8億円だった。売り上げの29.6%を占める経営・マーケティング事業では、BtoCビジネスを展開する企業に対する経営実務の支援などを行っている。同64.1%を占める業務・デジタル事業は業務改革を中心としたコンサルティングやシステム構築及びデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援・サービスを提供している。

 事業・経営に直接参画し、高い成長が期待できる企業に投資も行う。焼きカレーパンのテイクアウト店を運営している。売上高の25.8%が良品計画向け。カルチュア・コンビニエンス・クラブが議決権の20%超を保有する。従業員はグループ(連結決算ベース)で268人。

 リヴァンプの創業者である澤田氏は126万株を保有し、第3位の大株主(保有比率は15.46%)。上場に当たって100万株を売り出すことから、「リヴァンプの新規上場は澤田氏のイグジット(出資分の回収)の色彩が濃い」と指摘されている。

 上場の仮条件は2710~3100円。ブック期間は6月11~17日となっている。公開価格が2710円だと澤田氏は最低でも27億円超のキャッシュを手にすることになる。3100円なら31億円だ。21年の上場は公開価格の5割高から2倍以上でスタートする銘柄がほとんど。基準価格を下回る例はないので、最低でも澤田が手にする金額が30億円を上回るのはほぼ確実とみられている。

【リヴァンプの経営指標】(単位:百万円)

             19年3月期    20年3月期    21年3月期

売上高             6,542      6,928      7,673

当期純利益         1,046      1,240      814

純資産額          5,492      6,520      5,865

総資産額          7,058      7,505      7,242

1株当たり純資産額             63(千円)    75(千円)    81(千円)

1株当たり当期純利益    11(千円)    14(千円)    10(千円)

自己資本比率        77.1(%)        86.1(%)    80.1(%)

自己資本利益率       20.9(%)        20.8(%)     13.2(%)

【リヴァンプの主要株主】

                    所有株式数   所有株式の割合

1位:湯浅智之(社長)           245万株    30.13%

2位:カルチュア・コンビニエンス・クラブ  160万株    19.63%

3位:澤田貴司(創業者)          126万株    15.46%

7位:玉塚元一(創業者)           20万株    2.51%

澤田氏と玉塚氏の軌跡をたどる

 ユニクロを展開するファストリの元副社長の澤田氏と元社長の玉塚氏が05年9月、企業支援会社リヴァンプを立ち上げた。リヴァンプは「立て直す」という意味。相手先企業の要請により期限付きで買収を行い、経営権を譲り受ける。経営者のみならず社員も含めたチームを送り込み再建に取り組む。目標を達成すれば成功報酬を得て株式を返却する。こうした手法でリヴァンプは成長してきた。

 最初の案件がロッテリアだった。ロッテリアの再生が成功したことが、玉塚氏がローソンの新浪剛史社長(当時)にヘッドハンティングされる契機となった。2人は慶應義塾大学体育会の先輩・後輩の間柄だった。11年、ローソンの副社長に就き、14年、新浪氏の後任として社長に就任、16年に会長となった。

 一方、澤田氏は、古巣の伊藤忠商事の岡藤正広社長(当時、現会長CEO)に一本釣りされて16年からファミリーマートの経営を任された。盟友の2人はコンビニのライバル企業のトップとして剣を交えることとなった。

 2人を突き動かしたのは、ユニクロでの挫折体験だといわれている。2人とも最終的にはユニクロの創業者である柳井氏の期待に応えることができなかったからだ。澤田、玉塚の両氏はコンビニで大輪の花を咲かせて、柳井氏を脱帽させることを試みたが、玉塚氏は17年、ローソン会長を退任。ローソンは親会社の三菱商事が直接、経営に乗り出し、後ろ盾だった新浪氏もローソンを去った。玉塚氏は居場所がなくなり、お役御免となった。

 その後、玉塚氏はゲームやスマホ、遊戯機器などのソフトの不具合検査(デバッグ)を行うデジタルハーツホールディングス(東証1部上場)の社長に転身した。華麗な転身は続く。ロッテの持ち株会社ロッテホールディングス(HD)の社長に6月下旬に就任することが明らかになった。菓子業界3位のロッテをはじめ、ロッテリア、プロ野球球団の千葉ロッテマリーンズなどを抱えるロッテHDの顏となる。

 ロッテはお家騒動の渦中にある。創業家で会長の重光昭夫氏は、兄で元副会長の重光宏之氏と経営権をめぐって係争中で、対外的な活動が難しい。昭夫氏がロッテリアの再建で深い関係がある玉塚氏を持ち株会社のトップに招いた、という図式が取り沙汰されている。

 玉塚氏は実績よりも、去就が話題になる経営者とみられている。今回もロッテHDのトップとしてスポットライトを浴びることになった。コンビニ業界2位のファミリーマートの表紙も変わった。16年から社長を務めてきた澤田氏が3月1日付で副会長となり、親会社の伊藤忠商事から執行役員第8カンパニープレジデントの細見研介氏が社長の椅子に座った。澤田氏は期待されてファミマの社長になったが営業力の強化策は実らなかった。

「行動力しか印象に残っていない。三菱商事出身でリヴァンプにいた人物をファミマに入社させて、“お側用人”のように使っていた。広告代理店を替えたり、ファミマのオーナーに新製品をお披露する時にファミチキの袋の中に澤田さん自身が入って踊っていた」(ファミマ関係者)

「親会社の伊藤忠商事の株主総会で『ファミマの澤田社長に関連する質問が出る』という噂が流れたことがある」(伊藤忠の関係者)

「ダイナミックな仕事でワクワクする」と約5年前の社長就任会見で語っていた澤田氏にとって、中2階の副会長就任は事実上の更迭人事だとの見方もある。「澤田氏はリヴァンプの株式上場に伴う保有株式の売り出しで得る資金で、新たな投資会社を立ち上げ、再チャレンジする」(アナリスト)との見方が有力だ。

「生き馬の目を抜くコンビニ業界でNo.2会社のトップを務めていた人が別の会社の経営に関与していることについては、株主からも辛口の指摘があった。リヴァンプの上場で、当社に流れ弾が飛んでくることを警戒している」(ファミマの現役幹部)

 澤田氏は社長を退任したとはいえ、代表権を持つ副会長である。その人物が設立した会社の株式公開で最低でも30億円以上の現金を手にすることについては、疑問の声もある。

(文=編集部)

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