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闇金業者は、出資法の上限であろうが、利息制限法の上限であろうが、法改正でグレーゾーン金利が撤廃されようがお構いなく、高利貸しを行っています。「トイチ」とか「ヒサン」とか「トゴ」とかそういった金利で貸し付けます。10日で1割、1日3割、10日で5割の金利を意味していますので、その方法は悪魔的です。それでも、借りる人がいるから闇金はなくならないわけですが、当然、そのような収入でも税金は納めなければいけません。
さて、調査によって問題になったのは、利息部分でした。一般に、貸金業を行っていれば、貸したお金の利息が発生したときに、その利息を受け取っていなくても、収入として計上することになります。「売掛金」みたいなものだと考えてください。未収の利息は、将来的に受け取れるものですから、発生した時点で所得になると考えられています。今回の闇金の税務調査によっても、同じようにトゴとかヒサンの利息がすべて所得として課税されました。
そうなると、まだ受け取っていなくても、莫大な金額を収入として計上しなければいけなくなるわけです。そもそも、そんな利息を取っている闇金業者が悪いのですが、闇金ですから貸した相手に、警察に駆け込まれたり、逃げられたりしたら、回収ができないかもしれません。一般的な金貸しと違って、回収不能になる可能性が高いのです。闇金業者にしても、1日3割の利息が取れて当たり前とは考えていないようで、「未収利息を収入にするのはおかしい」と主張しました。もちろん、税務調査をした側は抵抗しました。
これが裁判で争われた結果、どうなったか――。
簡単にいうと、利息制限法を超える利息は、それ自体がそもそも無効です。闇金業者が、借りた側がなぜか法律の保護を求めず自分から違法な利息を払うことを期待しているだけであって、ヒサンとかトゴの利息が受け取れる可能性は高くない。よって、未収である場合、まだ受け取っていない利息は、収入に計上しなくてよいという趣旨の判断が下されました。
納税者側(あまり納税していませんが)の主張が通ったわけです。法律を犯している事業者が、犯していない事業者より、税の負担が少なくなる珍しい事例でした。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)
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