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好景気の業界で意外に潰れる会社が多い本当の理由…陥りがちな“負のサイクル”と脱出法

松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター
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「gettyimages」より

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 コロナ禍で多くの企業がダメージを受けていますが、中には業績が右肩上がりの業界もあります。具体的には、IT関連、食品メーカー、運送などです。これらは、在宅時間や中食の需要が増加した恩恵を受けている業界ですが、好調だからこそ気を抜いてはいけません。

 実は、好景気の業界では、優秀な人材が流出して内側から崩壊してしまい、人材不足となって潰れてしまう可能性もあるのです。今回は、好景気な業界の企業が潰れてしまう理由と、その対処法についてお伝えします。

好調な企業が陥りがちな負のサイクル

 結論から言えば、好景気の業界の企業が潰れてしまう理由は「売り手市場になっていて、自分たちの企業が引き受けるべき案件を見極めずに、キャパシティ以上の受注を受けてしまうから」です。

 これだけでは「好景気な業界だから仕方ない」「案件があれば受注するのは当然」と、事の本質が見えなくなってしまいそうですね。では、その中身について、もう少し細かく説明しましょう。

 負のサイクルの根本的な原因は、その企業の中で仕事を取って来る人(営業)と、仕事を回す人(制作など)が分かれている場合に顕著になります。

 前述の業界は売り手市場になっているので、さまざまな案件が転がっている状態です。そのため、営業は売り上げのために仕事をたくさん取ってきます。実際に引き受けるかどうかの基準は、それぞれ異なると思いますが、好景気のときは何事も「質より量」になりがちです。そのため、大量の受注を受けてしまい、制作などの人間に過度な負担がかかりやすくなりがちなのです。

 そうなると、制作や製造の現場は常にフル回転状態となり、特に仕事が集中してしまう優秀な人材や中間管理職に負担がかかり、結果的に退職に至る可能性が高くなってしまいます。優秀な人ほど、自分の目的や叶えたい何かを持って仕事に取り組む傾向にあります。しかし、ただ日々の業務に追われるだけになると、他に自分の能力を活かせる場所を探したくなるものです。

 そういった人が抜けてしまうと、仕事はあるけどさばける人がいない状態になり、現場を回すために他部署から人を引っ張ってきたりします。新しい人材が入ったことで、うまく仕事が回ればよいのですが、連れて来られた人がノウハウや経験が不足している場合は、現場が混乱するだけになってしまうでしょう。

 また、業績は上向きながら人材が足りない場合、中には給料を上げる企業もあります。それでも退職者が続き、新しい人材が入ってこない場合は、もはや末期状態です。そんな企業が長続きするとは思えませんよね。

 これは、「営業と制作・製造が分かれている企業」の他にも、「営業主体になっている企業」や「理念がなく、売り上げ重視になっている企業」も当てはまります。

 きちんと理念が設定されている企業であれば、売り手市場であっても、受注の前に自分たちが引き受けるべき案件かどうかをきちんと精査します。そのため、制作部隊の業務量オーバーには陥りにくい。もし、多少オーバーしたとしても、「目的達成のために仕事をしている」という意識があるので、人材の流出や内部崩壊にはつながりにくいでしょう。

 では、前述のような負のサイクルに足を踏み入れてしまっている場合、もはや救いようがないのでしょうか。

社内文化を変える「クレドミーティング」とは?

 好景気ながら人材不足に頭を悩ませていたり、数字が大きな目標になっていたりする場合は、まずは社内で「承認文化」を形成することから始めてみてください。本来なら評価制度に取り入れることが望ましいのですが、急には難しいので、手っ取り早く行える「クレドミーティング」がいいでしょう。

「クレド」とは、その企業全体で心がける「志」や「信条」や「行動指針」のことです。有名ホテルのザ・リッツ・カールトンが取り入れ、業績が上向きになったことで知られるようになりました。

 人は、ただ仕事をこなしているだけでは、本来の目的や自己実現の部分を見失いがちになりますが、自分のした仕事が誰かの役に立っていることを実感できれば、前向きに取り組めるようになるものです。

 お客さまから感謝されたこと、失敗を克服したことなどの成功談や努力したエピソードを共有することで、「うちってけっこういい会社だな」「自分もがんばらなきゃ」と会社への帰属意識が高まり、仕事のモチベーションアップにつながります。顔を合わせてのミーティングが難しい場合は、イントラネットやチャットを使って行うのもいいでしょう。

 コロナの前は、飲み会で愚痴を言い合ったり、褒め合ったりすることができましたが、今となっては仕事帰りの一杯さえも難しい状況です。代わりに「クレドミーティング」を取り入れてみて、自分たちの目的や価値を確認し合い、さらなる成長を目指してください。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)

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