米インディードを965億円で買収
インディードは04年11月、ITベンチャー起業家によって設立され、クリック型報酬求人広告のネットワークを開始した。求人に興味がある人だけに広告が届く課金型だ。日本では09年11月からサービスを始めた。日本参入3年後の12年10月、米大手新聞ニューヨーク・タイムズが保有していた株式をリクルートHDが買収、インディードはリクルートグループの一員となった。買収額は965億円と巨額だった。
13年10月、インディード・ジャパンを設立し、日本市場に本格参入した。それまで日本では馴染みはなかったが、「仕事探しはインディード」「バイト探しはインディード」のテレビCMを洪水さながらに打ち、知名度は急速に高まった。
インディードの売り上げは買収後22.7倍
リクルートHDの18年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益は前期比7.5%増の1兆1433億円、営業利益は同16.8%増の1265億円、当期純利益は同12.9%増の926億円だった。
リクルートHDのビジネスは、人材ビジネスとITを組み合せた「HRテクノロジー部門」、旅行や飲食などの販促や人材紹介の「メディア&ソリューション部門」、「人材派遣部門」の3つのセグメントで構成されている。
同社はセグメント利益をEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)で表示している。EBITDAは、どの程度のキャッシュフローを生み出したかを示す数値。同社がもっとも重視している指標だ。全社のEBITDAは1552億円と11.5%増えた。
3つのセグメントを見てみよう。
人材派遣部門の売上収益は、前年同期比1.9%増の6549億円。EBITDAは同8.4%増の441億円。全社の売上収益の57%を占める主力事業だ。
メディア&ソリューション部門の売上収益は、同5.3%増の3494億円、EBITDAは同11.2%増の914億円。創業事業である同部門は、全社のEBITDAの59%を叩き出す稼ぎ頭だ。
それでは、インディードのHRテクノロジー部門はどうか。売上収益は同52.9%増の1517億円、EBITDAは同46.7%増の237億円と、驚異的な伸び率を遂げている。
インディードの売上高(ドルベース)は、買収前は8700万ドルだったが、18年3月期には19億7500万ドルと22.7倍に急増した。18年4~9月期は13億7300万ドルと前年同期比59.2%の増加だ。世界では月間2億人以上が利用する世界最大の求人情報サイトに急成長した。これが「人材業界のグーグル」と呼ばれる所以だ。リクルートHDは金鉱を掘り当てたのである。