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丸紅、初の“○○社長”誕生…熾烈な社長レースの舞台裏

文=編集部
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丸紅、初の“○○社長”誕生…熾烈な社長レースの舞台裏の画像1丸紅(写真:YUTAKA/アフロ)

 2011年に丸紅の社長に就いた國分文也氏は3期6年の節目を迎えた。中期経営計画が2019年3月末で終了することから、「新しい中計は新社長の下で」(丸紅幹部)との気運が高まっていた。

“ポスト國分”の候補は3人に絞られていた。柿木真澄・取締役副社長執行役員(東京大学卒、1980年入社、機械)、矢部延弘・取締役常務執行役員(慶應義塾大学卒、82年入社、財経)、宮田裕久・取締役常務執行役員(早稲田大学卒、83年入社、機械)である。

 2018年4月に経営陣に加わった柿木、宮田両氏は、丸紅の稼ぎ頭となっている電力部門の出身である。電力部門の利益は、ここ15年間で10倍になった。資源のように国際商品市況に左右されることがない安定した“ドル箱”になったといっていい。絶対本命は柿木氏といわれていたが、下馬評通り同氏が4月1日付で社長に昇格する。

 電力部門から次期社長が選ばれるというのは自然な流れだった。柿木氏は18年4月から電力・プラントグループのCEOを務めている。宮田氏は電力本部長としてこの部門を拡大してきた実績がある。現在は経営企画を担当するCSO。重電畑一筋の宮田氏を、経営戦略を立案するCSOに就け、新しい中期経営計画策定の機関車役とした意味は重い。そのため「宮田氏本命」説を唱える幹部が増えていたが、ひっくり返らなかった。

 もう一人の有力候補だったのは、矢部常務は財務畑。経営企画部長を経て現在はCFO(最高財務責任者)である。投融資委員会の委員長として丸紅のサイフを握っている。会長の朝田照男氏が財経出身で初めて社長の椅子に座った。「その再現があるのだろうか」との声もあったが、出番は回ってこなかった。

 ダークホースは素材グループCEOの小林武雄・常務執行役員(慶大卒、1981年入社、機械)と取り沙汰された。紙パルプ本部長として海外の紙パルプ事業をたて直した。丸紅は一時期、紙パルプ部門から社長が輩出されていた。

 背番号(どの部署の出身かという色分け。総合商社独特の呼び方)が機械・電力の社長が誕生するのは初めてだ。東大出身の社長は3人目である。

 朝田会長と國分社長の関係が良くないこともあって、朝田氏の処遇にも関心が集まった。特に國分氏が会長兼CEOになるかどうかが焦点だった。そうなれば、実質的に國分時代が続くことになるからだったが、國分氏は代表権を持たない会長、朝田氏は常任顧問となる。「両者相討ち」(関係者)との声があがった。

「人見知りで心配性な小さな人間だが好奇心は旺盛」

 1月15日の社長交代の記者会見で柿木新社長は、こう自分を分析した。「人と群れない」「感情的にならない」「友達は少ない」という発言に、「総合商社の社長として、若干違和感」を持った記者もあったようだ。

 社長への登竜門とされる米国会社の社長も歴任しており、次期社長の本命とされてきたが、國分氏から後継指名を受けたのは1月7日朝。「覚悟しているんだろうな」と言われたが、まったく動揺しなかったという。

 丸紅は商社業界で万年5位の地位に甘んじている。柿木氏には、「新しいビジネスモデルの構築」という重い責務がある。同氏は「商社の古い組織を打破して、縦横斜めからひねりを加えて新事業にチェレンジしたい」と抱負を語った。欧州の先行例をモデルに電気やガス、水道などのインフラ事業と高齢者の見守り活動、地方交通の維持などを同時に実現する新しい包括的なビジネスを目指す。

 丸紅の企業広告のキャッチコピーは「とがった丸(紅)になれ」。柿木氏の、とがった丸(紅)になる挑戦が始まる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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