個人間で中古品を売買するフリーマーケットアプリ大手のメルカリの株価は右肩下がりで、下落に歯止めがかからない。12月19日には、とうとう2000円を割り込み、21日には一時、1820円まで下落。連日の上場来安値の更新となった。公開初日比で株価は3分の1以下に崩落した。
6月19日、メルカリが東証マザーズに新規上場した。企業価値が10億ドル(約1100億円)を超える「ユニコーン」企業の上場は、投資家から期待を集めた。ユニコーンは、額に一本の角が生えた伝説の生き物。ユニコーン企業とは、投資家からユニコーンのように巨額の利益をもたらす可能性のある企業として注目される。
上場直後に、公募価格(3000円)の2倍に当たる6000円をつけた。時価総額はおよそ8574億円と、大型IPO(新規株式公開)となった。だが、その後、株価は急落。11月1日には、ついに公募価格割れの2891円に。上場時点で寄せられていた投資家の高い期待は、すっかり剥げ落ちてしまった。
11月26日には、創薬ベンチャーのサンバイオの株価が3営業日続伸し、時価総額はメルカリを抜き、東証マザーズ市場で首位となった。メルカリの株式時価総額は上場直後の3割の水準。6000億円弱がけし飛んだ計算だ
何が投資家を失望させたのか。公開価格を下回れば、IPO後に買ったすべての株主が含み損を抱えることになる。IPO後に株価が下がり続ける「上場ゴール」と批判されても仕方がない。株価は、長期的な成長の可能性を織り込んだものだ。売り一色となっているのは、経営者の姿勢の甘さへの裏返しである。
上場後初めて発表した2018年6月期連結決算の最終損益は、70億円の赤字(その前の期は42億円の赤字)と赤字幅が拡大した。山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)は「現在は短期的な利益を追う段階ではない」と投資家に理解を求めたが、理解は広がらなかった。売上高は前期比62%増の357億円。営業損益は44億円の赤字(前期は27億円の赤字)だった。
今後も赤字が拡大し続ける恐れ
投資家が危惧したのは、赤字の“原因”だ。
国内のフリマアプリ事業の利用者は増えたものの、米国での事業拡大に伴う先行投資が重荷となった。米国市場は競争が激しい。取扱高10兆円のイーベイをはじめ、クレイグスリスト、レットゴー、オファーアップ、ポッシュマークなど、メルカリと似たサービスを提供するライバルが多数いる。メルカリは、“その他大勢”でしかない。
メルカリはシェアを取るためにコストをかけている。国内のメルカリ事業で稼いだ利益を、赤字の米国事業に注ぎ込み続けているのだ。