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iPhone販売不振と中国経済減速が日本企業を直撃…アップル&中国依存脱却が急務

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 国内電機業界全体でも、ロームと同様の発想を重視する企業が増えてきた。その結果、日本企業が自力で人気のあるヒット商品(最終商品)を生み出すことは減少してきたように思う。

 ローム以外にも、ソニー、安川電機、日東電工、村田製作所など多くの企業が海外のスマホメーカーなどをはじめとするIT先端企業からの需要を取り込んで収益を獲得してきた。加えて、中国などでのIoT(モノのインターネット)への投資増加を受けて、制御機器などの需要を取り込んで成長を遂げた国内企業も多い。

 このなかでロームは、顧客企業のニーズに対応したカスタムLSIを得意としてきた。それは、同社の株価や業績動向が、エレクトロニクス企業の需要・業績動向をより敏感に反映しやすいことを意味する。18年年初来の同社の株価下落には、目先の業績だけでなく戦略への不安心理の高まりが影響している可能性がある。

スマートフォン需要の低迷

 ロームにとって経営戦略上、スマホ関連需要の取り込みには、成長に向けた経営資源を確保する意味合いがあったといえる。それを実現した上で、同社は車載関連など新しい分野へ経営資源を再配分することができてきたと考えられる。

 リーマンショック後、ロームはアップルなどの需要を取り込むことを重視した。そのために09年、ロームは米国の半導体企業であるKionix(カイオニクス)を買収した。買収の目的は、カイオニクスのMEMS加速度センサ(人の動きや振動などを検知するデバイス)技術の獲得にあった。

 こうした取り組みの結果、同社の収益に占める海外民生関連事業の売上高は増加基調となった。04年度、同社の売上の28%が海外民生関連からもたらされていた。リーマンショック後の落ち込みを挟んで、海外民生関連が売上高に占める割合は増加傾向となった。その後、産業用機械や車載関連の収益が増加してきた。それがロームの戦略を支えている。

 スマホには、IoTのインターフェイスとしての役割がある。スマホの登場があったからこそ、工場の自動化、コネクテッドカーなどの開発が進んだ。そう考えると、ロームの市場別に見た売上高の構成比推移は、スマートフォンからIoTへ、という流れと一致している。

 ただ、17年度ごろから、海外民生関連の売上が伸び悩んでいる。19年3月期、ロームは海外民生関連の売上が全体の24%程度に落ち込むと予想している。17年、世界のスマートフォン出荷台数は初めて減少に転じた。これは、世界全体でスマホの普及が一巡しつつあることの表れにほかならない。スマホ需要が伸び悩むなかでロームがどのように収益を獲得し、成長につなげていくか、先行き不透明感が高まっている。

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