就職情報提供サイト運営、職業紹介大手「マイナビ」が学生に送付したメールに対し「所属大学によって選別していたのではないか」などという指摘が一部報道でなされ、インターネット上で物議を醸した。問題のメールには私立大学群の略称が用いられていたほか、ネットスラングで「バカ」を意味する「⑨」という数字が表記されていた。マイナビは報道各社の取材に「当社は学歴によって一部の学生が有利になるようなことは行っておりません」との見解を示したのだが、「⑨」という数字はなんだったのかという疑問が残された。
当編集部はこの「⑨」という数字の意味などについてマイナビに見解を聞いた。同社広報部は8日、「⑨」という数字の意味について、「スラングといったような意味はまったくございません」と説明した。
「大東亜以下⑨」と記されたメール
一連の騒動は、マイナビの新卒大学生向けサービス「マイナビ新卒紹介」が6日に送信したメールのタイトルが「「<第1>大東亜以下➈」と表記されていたことを、複数の大学生がTwitter上にメール画像を投稿したことが発端となった。
Twitter上では、「大東亜以下」は私立大学群略称の「大東亜帝国」(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学)の一部を指す点、「⑨」が同人サークル「上海アリス幻樂団」が製作しているゲーム・著作物『東方Project』を中心とする関連シリーズのひとつ『東方MMD』のファンの間で「バカ」を指すスラングとなっている点などが取りざたされ、「学歴フィルターが存在しているのではないか」との指摘が相次いでいた。
このメールを受け取った亜細亜大学の男子学生は次のように話す。
「大東亜以下で分けられているということ以上に腹が立ったのは、Twitter上で指摘されていて初めて知った⑨という表記の意味です。サービス利用者をバカにしているのかと思ってひどく腹が立ちました」
「⑨は面談対応できるキャリアアドバイザーの数」
今回問題になったメールタイトルにあった「大東亜以下」という表記の区分名称は同社内の業務では一般的に用いられていたのだろうか。それとも担当者個人が勝手にそうした名称を用いていたのか。そうした疑問をぶつけてみたところ、マイナビ広報部の担当者は次のように文書で回答した。
<「大東亜以下」という文言は、『マイナビ新卒紹介』の面談枠管理のために用いておりました。ただ、こちらの区分けにより、学生に対して何か有利・不利になることはございません。しかし、誤解を与えかねないカテゴリの区分けとなりますので、今後は活用しない所存でございます>
また⑨という数字の意味はなんだったのか。単なるナンバリングだったのか。それとも一部で指摘されているような侮蔑的な意味合いがあったのだろうか。広報部担当者は次のように回答した。
<一般的なナンバリングという認識でお間違いなく、スラングといったような意味はまったくございません。⑨という番号については、当日面談を対応できるキャリアアドバイザーの人数を表しており、当日面談できるキャリアアドバイザーの人数が変わった場合はこちらの数字が変動いたします>
騒動は「⑨」の件にとどまらず、ネット上でさまざまな憶測や推測を交えながら拡大している。Twitter上では8日午前、「学歴フィルター」が日本国内でトレンド入りし、現在も“フィルターの是非”について活発な議論が続いている。
(文=編集部)