オイシックス・ラ・大地(東京都品川区)は運営する食材宅配サービス「Oisix」で配送トラブルが発生し、今月21日ごろから利用者から「空き箱が届いた」などの報告がSNS上であり、騒動になっている。同社は24日に公式サイトに『当社の物流センター移転トラブルに関してのお知らせとお詫び』(25日午後3時に一部更新)と題する謝罪文書を公開。「物流センターの移転に伴うトラブルにより、お届けができなかったり、多数商品の欠品、遅延などご迷惑をおかけしており、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
「計画や判断の甘さがあった」
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴う食材宅配の需要増で、一時注文制限をせざるを得ない状況にあった同社は、2020年5月、24年に予定していた大型物流センター「OisixNew海老名ステーション」(神奈川県海老名市)への新設と移転を22年1月に大幅に前倒しすることを決定。センターは21年8月に完成。11月から移転準備を進め、今月18日に移転していた。
同社の発表では、以下のように移転直後に発生したトラブルの原因を説明している。
「計画や判断の甘さがあり、初日に大量の商品が想定していなかったタイミングで同時に入荷があったことなどから受け入れが混乱し、その影響で後続の作業が予定通り進まずに大量に欠品が発生してしまいました。
また、混乱の影響がその他の多くの工程に波及してしまい、実際の在庫とデータ上の在庫が一致しないといった事象が多く発生したため、出荷作業の前にスタッフ全員で手動で在庫整理と移動を行ってから出荷作業を開始することとなり、出荷の遅れや欠品、お届けができない事態が連日起きてしまっている状況です」(原文ママ、以下同)
24日に発表されたIR資料『Oisix 新物流センターの移転時トラブルについて』によると、同社の業績への影響を次のように説明している。
「本件により、お届けキャンセルとなった注文分の利益損失などの業績影響が見込まれますが、現在は通常の配送再開を最優先として取り組んでおり、2022 年 3 月期の連結業績に与える影響は精査しております。今後開示すべき事由が発生した場合には、速やかに公表いたします」
箱の中にはミニトマト1パックだけ?
今回配送に影響が出ているのは、同社が扱う「Oisix」「ISETAN DOOR」「dミールキット」などの商品。キットでは、料理を1品完成させるのに必要な食材が一部だけ届くなどのトラブルが起こっているようだ。またTwitter上では25日、以下のように同社の対応と説明不足に対して声が上がっていた。
「うちは三週連続商品が足りなかった 今回は1日遅れで、いつもは1箱なのに2箱も届いて、1つにはキット2個だけ、もう一方はミニトマトが1パックだけ入ってた」
「今日の我が家は冷蔵品は全てキャンセルされて唯一生き残った冷凍ベーコン一点のみ宅配で届いた」
同社はこうした利用者に対し、今週分の発注について、前出の謝罪文の中で「今週の受け取りについてご不安なお客様は、キャンセルいただだきますようお願いいたします」(原文ママ)と呼びかけている。
「空き箱」とチラシのみの配達があったことを認める
また同社は25日午後3時、前出の謝罪文とQ&Aを更新し、空箱やチラシのみが利用者に届き、送料が請求されているケースがあったことを認め、次のように謝罪した。
「空の状態やチラシのみの箱をお送りしてしまい、まことに申し訳ございません。月末のご請求締めまでに、誤ってご請求している送料をお値引きいたします」
大手物流会社関係者は今回のオイシックスの配送トラブルに関して次のように語った。
「コロナの影響で特に配送・物流センターまわりの人員確保は大きな課題になっています。例えば優秀なフォークリフトオペレーターなどの確保は業界の懸案になりつつあります。
オイシックスさんは配送センター移転計画を大幅に前倒ししています。単に建物や設備だけ作れば良いというものではなく、適切な人員を確保し、各種システムや工程に習熟するのにはそれなりの時間が必要です。移転準備の開始が昨年8月で本格稼働が今年1月というのは、かなりスピーディーなイメージを持ちました。
今回のトラブルの根本原因が在庫管理システムのトラブルなのか、それとも人手や練度が不足しているからなのかはわかりませんが、現場(配送センター)は大変なことになっているのは間違いないとは思います」
【27日午前9時半更新】
オイシックス・ラ・大地広報室は26日、以下のように続報を発表した。
「1月24日時点で、欠品、お届け遅延、配送の見送りが多数発生しておりましたが昨日25日の出荷では、予定していたすべての出荷を完了いたしました。
下記URLにてお客様にも報告させていただいております。
https://www.oisix.com/shop.g6–shopping–news_220120_deliver_faq__html.htm?mi2=sp3gyoubun
一方で、出荷完了率、欠品率ともに大幅に改善は進んでおりますが、現時点ではいまだ不安定な要素があり、引き続き改善を進めて参ります。平常化に向けて、社員一同総力を上げて対応しております」
(文=編集部)