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「かっぱ寿司が美味しくなった」は本当?徹底検証…あえてサイドメニュー注力せず?

文=A4studio
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かっぱ寿司のHPより

 カッパ・クリエイトが運営する大手回転寿司チェーン「かっぱ寿司」。かつては業界のトップチェーンとして名を馳せていたかっぱ寿司だが、現在は国内店舗数で見るとスシロー、はま寿司、くら寿司に次ぐ第4位となっており、王座から陥落して久しい。

 そんなかっぱ寿司だが、近頃はネット上で「味が美味しくなった」と話題にあがることも多い。また、かっぱ寿司自体がCMや店頭ポスターなどで「最近かっぱがうまいらしい!」というキャッチコピーを掲げているほどだ。一見すると自画自賛したキャッチコピーなわけだが、それは裏を返せば「以前は美味しくなかった」ことを暗に認めているとも考えられ、思い切った広告戦略に踏み切ったともいえる。

 実際にかっぱ寿司の味は向上しているのか。そして、かっぱ寿司が回転寿司業界で再び首位に返り咲く未来はあるのだろうか。今回はフードアナリストの重盛高雄氏に話を聞いた。

最近のかっぱ寿司はネタとシャリの適温が絶妙

 まず、かつて業界1位だったかっぱ寿司がなぜスシロー、はま寿司、くら寿司の後塵を拝してしまったのか。

「約10年前の話になりますが、カッパ・クリエイトは資本関係でなにかと不安定だった時代があり、2014年にカッパ・クリエイトがコロワイドグループの傘下に収まるまでは、落ち着いて戦略が立てられなかった時期が続いていたようです。また、かっぱ寿司はテレビCMで知名度を上げて目立っていましたが、スマホの普及などでネットでの宣伝の打ち出し方が重要になってきたなかで、他の回転寿司チェーンのほうがネットでの広告が上手だったため、次第に追い抜かれてしまったのでしょう」(重盛氏)

 では、かっぱ寿司の味が以前と変わったのか、変わったとしたらどう変わったのか。

「先日、新小岩店と板橋店に足を運んだのですが、シャリの口ほどきがかなり良くなったという印象がありましたね。従来の回転寿司といえば、人が握った寿司という感覚よりも、マシーンで握ったご飯の塊にネタを乗せているというイメージがあったと思います。いわゆる“回らない寿司屋”の握り寿司は基本的にシャリが若干温かく、そこに冷たいネタを乗せて提供しているんですが、今回かっぱ寿司で食べた際も同様に、ネタとシャリの持つ適温がうまく重なっているように感じました。

 かっぱ寿司は『すし特急』という、新幹線のようなレーンに寿司を乗せて席まで運んでくれますが、スピード重視で提供している他の回転寿司チェーンに比べると、提供スピードはやや劣っているという印象です。ただ、かっぱ寿司は提供スピードがやや遅れても、美味しく食べてもらえる品質を重視し、提供時間の調整を実施していると感じます。提供時間も評価基準の一つだとは思いますが、現在のかっぱ寿司は提供スピードよりも常に美味しい状態で提供することに重きを置いているんじゃないでしょうか。

 あくまで個人的な感想ですが、やはり以前よりも味のレベルが上がったように思えます。提供速度にこだわらずに美味しい状態で提供していることや、寿司として尖りのないニュートラルな味わい、漬けや炙りでごまかさずにネタの品質にこだわっていると感じますね」(同)

サイドメニューはあえて尖らせないのがこだわり?

 現在のかっぱ寿司は品質や寿司ならではの味わいを大切にしているようだが、かっぱ寿司と他の大手回転寿司チェーンでどういった部分に違いがあるのだろうか。

「以前からの傾向ですが、かっぱ寿司の商品展開を見ると、むやみにアイテム数を増やさない経営方針のようです。他の大手回転寿司チェーンはかなりサイドメニューにも力を入れて充実させていますが、かっぱ寿司はあえてサイドメニューを尖らせずに、寿司を一番美味しく食べてもらうという理念があるように感じます。かっぱ寿司にもサイドメニューにラーメンはありますが、量が多すぎず、寿司を邪魔しない味付けになってるんですよね。

 また、公式サイトについても若干違いがあります。他の回転寿司チェーンはフェアメニューを前面に押し出していて、派手に宣伝しているところが多いのですが、かっぱ寿司の場合はフェアメニューの宣伝よりもアプリクーポンをメインにしており、他チェーンとは一線を画しているように感じます」(同)

「定番の寿司で勝負する」という、寿司店として原点回帰的なスタンスなのかもしれない。では、寿司のクオリティ以外のかっぱ寿司が持つこだわりについても伺おう。

「かっぱ寿司は駅のそばにある店舗が非常に少なく、ロードサイドに設置している店舗が多いです。駅近のお店であれば会社帰りに気分でふらっと立ち寄ることもできますが、ロードサイド店舗の場合、車で来店してもらうのが基本となるため、動機づけや価値がないとわざわざ出向かないもの。ですがかっぱ寿司はそこに重点を置き、寿司屋に行こうという動機を明確に持っている客に来てもらおうという姿勢を、貫いているんじゃないでしょうか。

 かっぱ寿司の月次売上推移速報によると、前年同月比で2020年以降は客単価がほぼ100%を超えています。他の回転寿司チェーンはコロナの影響で営業時間が短縮したことや、アルコールの提供ができなかったことで客単価が前後している時期もあるなかで、かっぱ寿司はおおむね100%越えをキープしているのです。かっぱ寿司は車で来店してもらう想定なので、アルコール類も決して多くはありませんし、ドリンクバーもそこまでバラエティー豊かではありません。そのスタイルでも客単価がしっかりと確保できているということは、とても感心させられますね」(同)

 本来の寿司の味で勝負している感のある現在のかっぱ寿司は、他の大手回転寿司チェーンとの差別化もできているようだ。

 考えてみれば「最近かっぱがうまいらしい!」というキャッチコピーは諸刃の剣。このコピーを見てかっぱ寿司に足を運んだ客に、「本当に美味しい」と思わせられればリピーターになるかもしれないが、「言うほど美味しくない」と思われてしまっては逆効果になるわけだ。それだけ味を向上させたことに自信があっただろうことは想像に難くない。

 くしくも業界トップのスシローが今年、ウニなどを使った期間限定メニューのおとり広告問題や、生ビール半額のキャンペーンのポスターを開始前から貼り出していた問題がたて続けに起こり、評判を落としている。かっぱ寿司はそんなスシローの優勢を崩し、再び業界トップに躍り出ることができるのか、注目だ。

(文=A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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