忙しい朝を迎えるビジネスパーソンのなかには、外食チェーン店で朝ごはんを食べる人もいるだろう。大手牛丼チェーンである「吉野家」「すき家」「松屋」では朝定食メニュー、ハンバーガーチェーン「マクドナルド」では朝マックという具合にモーニングメニューを提供するチェーン店は多々あり、利用者も多いだろう。しかしながらラーメン屋や焼き肉屋など、あまり朝食向けではないガッツリ系のイメージがあるチェーン店でもモーニングメニューを提供していることはご存じだろうか。
たとえば、あっさりとした昔ながらの中華そばが売りのラーメンチェーンである「幸楽苑」では、「中華そばクラシック」がなんと390円(税込み、以下同)の安さで頼むことができる。またセットメニューも豊富であり、おひたしをはじめ、ラーメン店では珍しいお粥や玉子かけご飯を注文することもできるのだ。
また、ひとり向け焼肉チェーンである「焼肉ライク」では、バラカルビ100gが入った「朝焼肉セット」が580円とリーズナブルに食べられる。バラカルビ肉のほか、ごはんやわかめスープ、味付海苔が付いており、生玉子かキムチを選択可能。朝から豪勢に焼肉を味わえるとのことで、常連客からは人気だという。
そこで今回は幸楽苑と焼肉ライクに訪れ、実際にモーニングメニューを注文し、その美味しさやコストパフォーマンスについてレビューしていこう。なお、どちらのチェーンでもモーニングメニューの提供は、オープンから11時までの限定となっているので注意していただきたい。
あっさりとしたラーメンとトロトロのお粥が美味な「幸楽苑」
最初に幸楽苑のモーニングメニューからレビューしていこう。今回向かったのは、東京都調布市にある「調布深大寺店」。幸楽苑の単品モーニングメニューは、「中華そばクラシック」に加え、「お粥(ハーフ)」(260円)、「玉子かけご飯」(260円)と3種類。またセットメニューもA~Cまで3種類存在し、そのすべてにメンマとほうれん草のおひたしが付いており、お粥か玉子かけご飯を選択できる。
・A SET(420円):野菜スープ(塩味)、おひたし、お粥or玉子かけご飯
・B SET(540円):ハーフ野菜らーめん(塩味)、おひたし、お粥or玉子かけご飯
・C SET(710円):中華そばクラシック、おひたし、お粥or玉子かけご飯
今回は1人前のラーメンが味わえるC SETを注文。せっかくなのでお粥にしてオーダーしてみた。注文して10分ほどでセットが到着。鶏油が香る醬油スープの上には、チャーシューが2枚、メンマ、ネギがトッピング。麺は中太ちぢれ麺と中華そばにしてはやや太めだが、スープとよく絡みそうで相性はよさそうだ。
さっそくスープを飲んでみると、ほどよい塩気があるあっさりとした風味であり、コク深い動物系の旨味がほんのりと味わえる飲みやすい仕上がりとなっていた。くどさはまったくなく、油っぽいものが受け付けない朝でも美味しく飲めるスープだと感じた。
麺はモチモチとしており、食べ応えのある食感。噛み切りやすく、ツルリと喉ごしもよかったので、食べた後の満足感も大きい。トッピングのチャーシューは、薄めながらも柔らかく、豚の旨味が凝縮した味わいとなっていて美味。また青唐辛子入りの甘辛ソース「幸楽苑の素」を入れると、ほんの少しピリッとした辛さが舌を刺激するので、よりいっそうスープと麺の味が引き締まった。
そして次に箸を進めたのがお粥。ふやふやになったお米の食感は優しく、ほんのり甘い。またかすかに中華スープが入っているせいか、ただのお粥では味わえない上品な旨味も堪能できる。少し垂らされた、ごま油の香ばしい匂いも程よいアクセントとなっており、飽きの来ない味わいに。そして、おひたしも中華だしの旨味がぎゅっと染み込んでおり、お酒のつまみとしても相性がよさそうであった。
総評としては、朝食として食べても重さはさほどなく、朝から精力を付けられるエネルギッシュなモーニングメニューだと感じた。価格は710円と朝メニューにしてはやや高めなものの、朝からきちんと満足感を得たい方にとってはおすすめといえるだろう。
ジューシーなバラカルビ肉を朝から食べられる「焼肉ライク」
次に焼肉ライクのモーニングメニューを食べた感想を伝えていきたい。店舗は新宿駅西口から徒歩4分の場所にある「新宿西口店」。なお焼肉ライクの朝焼肉セットは、店舗によっては提供していないため、訪問予定の店舗で提供されているかどうかはあらかじめ確認していただきたい。
焼肉ライクの朝焼肉セットは、生玉子、キムチのどちらかを選択可能。その日の気分次第で変更できるのは嬉しいところだ。今回は生玉子を選択して注文し、5分ほどで自分の席に到着。なお、ごはんは大盛り、おかわり無料なのでたらふく食べたい方は注文してみてもいいだろう。
100gあるバラカルビ肉は、脂:4、赤身:6ぐらいの割合でやや脂身が多いイメージ。肉のそばには玉ねぎが添えられている。肉を焼く際は、自分でロースターの火を入れ、火力を調節しながら焼くことになるのだが、カルビ肉の脂が下に落ちて、燃え上がりやすくなるので注意すべし。
実際にバラカルビ肉を焼いてみて食べてみると、一口噛んだ瞬間、脂が溶けだした。薄い肉なので噛みやすいし、くどさもほとんどなくごはんにもぴったり。一般的な焼肉屋に比べるとジャンクな味わいなので、ハマる人はハマる味になっているのかもしれない。また醤油、味噌などたれは3種類、調味料もレモン汁、コチュジャン、おろしにんにくとあるので、味変しながら食べられるのも特筆すべきポイントである。
生玉子や味付け海苔といった朝食定番のおかずと組み合わせながら食べるのもおすすめ。生玉子はごはんの上に乗せて玉子かけご飯にするのもいいし、焼きあがった肉を付けてすき焼き風にして食べるのも一興だろう。味付け海苔を肉に巻いて食べると、和風テイストに仕上げられるので、より違った味わいを楽しめる。わかめスープは、薄い塩気のある味付けで旨味がしっかりと感じられる出来。ごはんを大盛りにした場合、肉を焼き終わった後に少しだけ余るかもしれないので、スープを入れて雑炊風にして食べてみるのもいいかもしれない。
ごはん大盛り、おかわり可能なこともあってボリューム抜群なモーニングメニューといえる朝焼肉セット。価格も580円とリーズナブルなので、朝から焼肉でもへっちゃらという胃袋の強さに自信がある人はぜひ試してみてほしい。
――ラーメン、焼肉と聞くとガッツリ系のイメージがあるかもしれないが、そういった固定観念を取っ払って朝から食べてみると、意外とイケるかもしれない。朝から精のつくものが食べたい人にうってつけといえるだろう。
(取材・文=文月/A4studio)