世界トップクラスのシェアをもつデンマークの補聴器メーカーの日本法人GNヒアリングジャパンは、6月6日「補聴器の日」に、新商品の発表会&勉強会を実施し、ポストコロナで変化している補聴器のニーズや難聴ケアの重要性や、雑音下での「フロントフォーカス」機能による、会話の聞き取りの向上を可視化したデータを発表した。また、医学博士・管理栄養士の本多京子先生による、「耳年齢」を意識した暮らし方や聴覚と味覚の関係、「耳によいレシピ」などを紹介した。
初めに、GNヒアリングジャパンのマーティン・アームストロング社長が挨拶。
「GNグループは、1869年の設立以来、人と人を結びつけ、つながりを育むことをサポートしてきた。現在、グローバルでのビジネスは、補聴器、コミュニケーション技術、ゲーム機器にフォーカスしている。現在、プレミアム補聴器『リサウンド・オムニア』の製品ラインアップを拡充しており、新モデルでは、騒音下での聞き取りで優れた性能を発揮して、これまで以上にクリアな聞こえを提供している。快適な装用感や身近な機器とシームレスにつながる接続性の良さによって、自然な使い心地を提供する。今後も引き続き補聴器業界をリードしていく」と語った。
GNヒアリングジャパン マーケティング部の大久保淳プロダクトマネージャーが、ポストコロナ難聴増加の背景にある発見の遅れについて説明。
「日本では成年人口の中で難聴の自覚のある方は約1,200万人といわれており、補聴器の所有者の割合は軽度難聴の人ほど低くなっている。日本における難聴率は全体で10%程度、18歳以上で11%となっている。海外と比較すると、難聴者率はほぼ変わらないが日本の補聴器所有率は非常に低い。また、ジャパントラック2022のデータによると難聴に気づいてから補聴器を購入するまでに平均2~3年が経過している」と、日本における補聴器所有率の低さと難聴に気づいてからの購入までの期間の長さを指摘する。
「コロナ禍による新しい生活様式では、ソーシャルディスタンスやマスクの着用、店舗でのアクリル板やビニールシートの仕切り、会話の制限など、難聴者においてはさらに聞こえが困難な状況となった。これに伴い補聴器のニーズにも変化がみられ、特にマスク着用時の装用のしやすさから『耳あな式』の人気が高まっている」「ようやくポストコロナとなったが、これをきっかけに個人の聞こえの問題が顕在化してくると思われる。この背景には、コロナ禍で人と会うことが減り、聞こえが悪くなっても自分では気づきにくかったことが挙げられる。実際、補聴器の販売台数が1~3月にかけて大きく右肩上がりになっており、前年比も2割増し。コロナ前と比較しても同水準以上に戻っている。」と、コロナ禍からポストコロナへの環境変化で難聴に気づく人が増加すると述べた。
医学博士・管理栄養士の本多京子先生は、「母の介護で気づく老いの準備『耳年齢』を意識した健康的な暮らし方」をテーマに講演。
「食べ物をおいしく味わうことは幸せの基本。美味しさを感じるにはまずは味覚があるけれども、実はそれだけではない。肉を焼いているときのジュージュー、せんべいを食べているときのバリバリ、レタスを食べている時のシャキシャキ、揚げたてのフライを食べた時の衣のザクザクという音や感覚に、“ああ、美味しいな”と思うように、音も美味しさの大切な条件なのではないかと思う。」と味覚に音が影響していると話した。
また、自身の家族のことに触れ、「私の母は90代で初めて補聴器に触れたのですが、使い方を覚えられずに結局使わずに過ごしている。その時感じたのは、補聴器を使いこなせる年齢からスタートすることの大切さ。聞こえケアは、60代から始めるべきだと感じた」と、「耳年齢」を意識して早い時期から補聴器を活用することが重要であると話した。「耳が聞こえなくなると話すのが億劫になり、会話が続かなくなる。聞こえが悪いと言葉の処理能力が落ち、認知機能にも大きな影響を与えているんじゃないかと思う。」と述べた。
本多先生は、「無音のところで食べたり飲んだりすると、味が弱くなることがわかっている。また、料理の時のお湯が沸く音や炒める音、食事の時の咀嚼音などが聞こえることも大切」と、きこえケアは味と食を守ることでもあると伝えた。きこえケアのために意識してほしい栄養素として、ビタミンB6と葉酸の2つをあげた。「ビタミンB6が不足すると神経系に異常が起こりやすいといわれている。青魚にはビタミンB6に加えEPAが含まれており、血管の健康維持に効果がある。一方、小松菜やブロッコリーなど緑の野菜に多く含まれているビタミンBの一種の葉酸は、アミノ酸の合成を助けたり、神経伝達物質のセロトニンやドーパミンを作ったりするのに欠かせないビタミン。」と話し、魚と青菜を取り入れた「耳によいレシピ」として、「鮭とブロッコリーの卵炒め」と「鯖缶と小松菜のカレー煮」の2つのレシピを紹介した。
「これから耳年齢を守っていくためには、今回紹介したレシピを参考に、血流改善を意識した食事を決まった時間に食べるようにしてほしい。また、スマートフォンや補聴器などを敬遠せずに、普段から使い慣れておくことも重要になる。年をとるにしたがって耳からの情報を大切にしてほしい、テレビを見るよりもラジオを聞く時間を増やして」と、耳年齢を守るためのライフスタイルについてもアドバイスした。
GNヒアリングジャパン トレーニング&ビジネスサポートマネージャーの藤垣均氏は、最新補聴器の騒音下における聞き取り検証を紹介した。
「これまでの補聴器では、騒々しい環境においてはユーザー満足度が低いという課題があった。そこで今回、騒がしいところでの会話が聞き取りやすい技術『両耳ビームフォーミング』の、会話の聞き取り効果について実証実験を行った。『両耳ビームフォーミング』は、補聴器に搭載されているワイヤレス技術を活用し、左右の補聴器のマイク信号すべてを利用して、1つの非常に鋭い指向性を形成する技術となる。これにより、周りが騒々しい場所においても『聞きたい会話音』をより鮮明に聴取することが可能となる」と解説。
「今回の実証実験では、ショッピングモールや交差点などの雑踏や、地下鉄のホームなど実際の環境騒音を用いて、ビーム型指向性を備えた補聴器の出力を録音し、音の検証と共に周波数分析データの視覚的な検証を行った。この結果、実環境の音源の中で、言葉の成分がよりフォーカスされて聞きやすくなっている様子が音と分析データの双方で確認された」と、騒がしい場所でも明瞭に聞き取りができることを証明した。
今年5月16日にラインアップを拡充したプレミアム補聴器「リサウンド・オムニア」は、装用者の難聴度や好みに対応するため、人気の高い充電タイプをフルラインアップで揃えている。昨年10月に発売したRIEよりもさらに小型な『ミニRIE』を始め、高度~重度難聴対応のBTEや耳あな型(CICおよび充電式)も取り揃え、より多くの人が快適に、より高度な技術を利用できるようになった。
また、従来のリサウンド補聴器に比べて、騒音下での会話の理解度を150%向上。騒音下での聞き取りに適した狭いビームフォーミング指向性と、周囲音から切り離されたと感じさせない自然な聞き取りのための無指向性という2つの利点を同時に兼ね備えている。
さらに、リサウンド・オムニア製品のすべてにおいて通話時や音楽ストリーミング時の接続性を向上した。装用者は、補聴器のボタンをタップするだけで通話に応答することができ、優れた音質でクリアな会話を楽しむことができる。スマートフォンをポケットから取り出すことなく通話できるハンズフリーにも対応している。
製品詳細については以下ウェブサイトを参照ください。
URL:https://www.resound.com/ja-jp/hearing-aids/resound-hearing-aids/resound-omnia
※本稿はインフォメーションです。