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ペッパーランチに聞く、頑なに生状態のステーキ提供を貫く理由

文=佐藤勇馬
ペッパーランチに聞く、頑なに生状態のステーキ提供を貫く理由の画像1
画像:「ペッパーランチ 公式ウェブサイト」より

 人気ステーキチェーン「ペッパーランチ」を訪れた客が提供されたステーキ肉について「生やんか」などと写真付きでSNSに書き込み、通常の提供方法であるにもかかわらず、一部で店側のミスなのではと誤解される事態となった。その一方、この生肉を提供するスタイルそのものについて「食中毒の危険があるのでは」との声も上がっているが、そうした指摘について運営会社に見解を聞いた。

 ペッパーランチは手ごろな値段でカットステーキやハンバーグなどを楽しめるチェーン店として1994年に事業を開始。「いきなり!ステーキ」などを運営するペッパーフードサービスの主力事業のひとつだったが、同社は2020年夏に投資ファンドのJ-STARにペッパーランチ事業を売却。現在はホットパレットが運営し、堅調ぶりはそのままに日本全国のみならず海外にも広く展開しており、2025年度までの中期経営計画の目標として国内400店、海外600店の達成を掲げている。

 話題となっているのは、6月末にTwitterに書き込まれたツイート。ペッパーランチを訪れたというユーザーが「レアとかじゃないやんか。生やんか」と書き込み、鉄皿の上にほぼ生の肉が乗せられた状態で提供されたステーキの写真を掲載した。「完全な生じゃん」「生肉のままってどういうこと」「これで食べてって出されるの事故すぎない?」などと驚きの声が多く寄せられ、約3000件のリツイート、5万件以上の「いいね」が集まるなど反響を呼んだ。

 だが、これに対して「ペッパーランチは自分で焼くお店ですよ」「自分好みに焼けるお店だから生で当たり前」「『よく焼きで』とオーダーすれば焼いて出してくれますよ」といった指摘が続出。実際、ツイート主は初めてペッパーランチを訪れて驚いたために今回の書き込みをしたようで、「ひっくり返して焼いたら普通に美味かったです」などと最終的にはサービスに満足したことを明かしている。

 ペッパーランチは、約300℃に加熱された特殊鉄皿で客自身が好みの焼き加減で肉を仕上げるのが大きな特徴で、公式サイトでもステーキの食べ方として「赤身のある部分をトングを使って返しながら焼きます→お好みの焼き加減になったらステーキソースをかけてお召し上がりください」と記載されている。ペッパーランチを利用したことがないネットユーザーたちが「店が手違いで生肉を提供したのでは」と誤解したことで、反響が大きくなった可能性があるようだ。

 ただ、この提供方法そのものを疑問視する意見もあり、具体的には「これだと食中毒のリスクがあるんじゃないの?」「牛肉であっても成型肉の場合は完全加熱しないと食中毒の可能性があるので、このような提供方法の商品は……」といった指摘が寄せられている。ペッパーランチといえば、ペッパーフードサービス運営時代の2009年に霜降り加工牛や成型肉を使用していた角切りステーキを食べた複数の客が食中毒を起こした事件があったため、そのイメージが影響している部分もありそうだ。

 現在も生でステーキ肉を提供するスタイルを続けている理由について、ホットパレットマーケティング部の森田萌さんはこのように語る。

「熱々の鉄皿でご自身で焼いていただく“わくわく感”や“楽しさ”を提供するため、また、お客様からもお好みの焼き加減でステーキ肉を召し上がりたいという声があるため、ステーキ肉については生の状態で提供しております(※一部インジェクション加工肉、ハンバーグなどを除く)。徹底した衛生管理の下、輸送・加工を行っており、また店舗での衛生管理を徹底したうえで、お客様へのご提供時にも必ずお召し上がり方をお伝えし、安全にお食事を楽しんでいただける環境を整えております」(森田さん)

 ネット上で「食中毒のリスクがあるのでは」と指摘されていることについては、このように回答した。

「牛肉はすべて検査をクリアしたものを使用しております。徹底した衛生管理の下、輸送・加工を行っており、また店舗での衛生管理を徹底したうえで、お客様へのご提供時にも『必ず焼成用の専用トングを使用して焼いていただく』『お肉の両面を焼成してから、お好みの焼き加減に仕上げていただく』というお召し上がり方を必ずご説明しております。徹底した衛生管理とお客様への食事に際しての注意喚起を行うことで、食中毒のリスクは無いものと考えております」(同)

 2009年の食中毒事件では、客が成型肉を十分に焼かずに食べたことが原因になったとみられたが、それについても対策済みのようだ。

「現在、ペッパーランチでは『成型肉』を使用しておりません。サーロインペッパーステーキはインジェクション加工肉(霜降り加工肉)になりますが、加工業者および店舗での衛生管理体制を徹底し、必ず加熱した状態で提供するなど安全にお召し上がりいただいております。また、2009年以降、食中毒トラブルは発生しておりません」(同)

 ペッパーランチはメニューの満足感と提供の早さが好評で業績も堅調となっており、今後も安心・安全にお肉を楽しめるお店であり続けてくれることを期待したい。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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