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ウーバーイーツ配達員、理不尽な理由で客から激怒…ピンズレ、到着予定超過

文=渡辺雅史/ライター
UberEATSの公式サイトより
UberEATSの公式サイトより

 先日、ネット上でUberEATS(ウーバーイーツ)のピンズレによるトラブルが話題となりました。内容はこんな感じです。

・配達員が届け先をアプリで確認した。
・配達員用アプリのMAP画面にA地点が示された。
・さらに注文者からの注意書きが記されている画面を確認すると「地図上では配達先がA地点と示されていますが、実際の住所はB地点になりますのでこの住所まで運んでください」との注意書きと住所が記されていた。
・地図アプリで住所を確認しB地点へ移動開始。
・配達中、配達員の現在地を確認したであろう注文者から「なぜA地点へ向かうのですか!」というクレームのメッセージが届いた。
・ちゃんと指示されたB地点に向かっているとメッセージを入れた。
・商品を届けたら怒り沸騰の様子で「住所ぐらいちゃんと確認して!」と怒られてBAD評価がついた。

 ネット上の反応は、配達員に対する同情がほとんどで、注文者が配達員の現在地を確認する画面ではなく、配達先を確認する画面(地図上にA地点が示されたもの)を見て怒っていたのではないかという話でまとまっていました。

 筆者もウーバーイーツで5年以上配達をやっています。最近はネット上で配達員に対する厳しい意見が多いので、今回の件で配達員に対する同情の声が大きかったのはありがたい話でした。と同時に、フードデリバリーを注文した人、配達した人でないとわからないピンズレによるトラブルは今後も起こり続けるだろうなと。そこで、この記事では騒動となった原因のピンズレの話や、配達員に降りかかるトラブルについて紹介します。

ピンズレで発生する不利益

 ウーバーイーツの注文者用アプリには、届け先住所を設定する項目があり、住所を入力すると航空写真の画面が表示され、指定した住所にピンが表示されます。この時、実際の場所とピンの位置がずれてしまうことがあります。これがピンズレという現象です。これは、新築のマンションなどで多く起こるもので、新しく番地が設定されたものの、地図ソフトがまだその番地を設定していないことが原因で起こることが多い現象です。

 ウーバーの運営側も、その状況を把握しているのでしょう。住所を入力してピンが表示されると、航空写真表示と同時に「ピンを動かして、ドライバーの待ち合わせに適したドアまたは入口を強調表示してください」という注意書きが表示され、MAP上に表示された配達先を調整することができます。位置がずれているのに気づかずスルーしたり、引っ越してきたばかりで地図を見ても自宅の細かい位置がわからないといったことから、そのまま「OK」としてしまうと、ピンの位置を目指して配達員がやってくるようになります。これがピンズレと呼ばれる現象です。

 ピンズレによってどのような不利益が起こるのか。注文者にとっては料理が届くまでの時間が遅くなるという不利益が生じます。朝食の時間帯に家の近所で迷われると「会社の始業時間に間に合わない!」とイライラしてしまうことになります。配達員にとってもBAD評価がつけられるのではないかとヒヤヒヤします。配達員の間にはBAD評価がたくさんつけられると配達員用のアカウントが停止される、つまりクビになるとのウワサがあるからです。

 注文する方にとっては、ネットのコメントの「そう思う」「そう思わない」と同じような感覚で評価している方もいらっしゃると思いますが、BAD評価が積み重なって働き口がなくなるかもしれないと考えている配達員にとって、1つのBAD評価の重みはすごいもの。なので、多くの配達員は「ちゃんと配達しよう」と努力します。以前、出前館の配達員が崩れた寿司を素手で整える画像が話題となりましたが、あれもBAD評価を受けたくないという気持ちが変な行動を起こさせたと思います。もちろん、あのような対応をしたのはダメで、渡す際に配達中に倒れてしまったと正直に話すべきですが。

「運営側の不手際」という認識を持つべき

 配達員は日々BAD評価の恐怖にさらされながら運んでいます。特に配達時間に関して「到着予定時間が●時●分となっているんですけど」というメッセージが届くと焦ります。また、ゆるい容器でドリンクや汁物を運ぶときもプレッシャーです。この夏はソフトクリームを運んで大変な目にあった配達員も多いでしょう。私も何回か運んでBAD評価をいただきました。

 そんなわけで、クビになるかもとビクビクしながら運んでいる配達員の方にアドバイスを。

「注文者は空腹というストレスがMAXの状態だ」

 どんな人でも、ストレスを抱えていると冷静な判断はできません。

 そしてもう一つ。

「ウーバーの運営側にしっかりクレームを入れるよう、注文者に説明を」

 冒頭で紹介したトラブルは注文者用、もしくは配達員用アプリのバグが原因かもしれません。ですが、ネット上のやりとりを見ると、意見が「注文者が悪い」「配達員が悪い」に二分され、怒りの矛先が運営側に向かっていません。ウーバーイーツの配達員が絡むトラブルを見ると「危険な運転やいいかげんな配達をする配達員」「カスタマーハラスメントを行う注文者」といったものばかりで、運営に怒りが向かうことがあまりありません。

 注文者用アプリ、配達員用アプリの機能を確認すると「注文者と配達員」「注文者とお店」「お店と配達員」は直接電話することができるようになっていますが、運営側との連絡はチャットのみ。そのためトラブルが起きた際、配達員に電話するパターンが増え、すぐさま運営側に連絡しようとは思わない構造になっています。

 トラブルのなかには運営側の問題も結構あります。私の場合、運営側からの指示通りに2つのお店で料理を受け取り、2つの配達先まで運んだのですが、注文者から「到着予定時間を45分過ぎている」とメッセージが入りBAD評価を受けるということがありました。配達員用のアプリには到着予定時間が表示されませんし、注文依頼が私の手元に届いた時間が「到着予定時間」でした。この場合、運営側にしっかりクレームを入れないとシステムが改善されません。

 少し配達員側からの愚痴っぽい文章となってしまいましたが、「配達員」と「注文者」が対立して、「運営」がそこに関わらないというのは不健全なことだと思います。この記事を読まれている方の中には配達員に怒りを覚える方も多いと思いますが、一旦落ち着いて、この怒りの何割が配達員で何割が運営側に向いているのかを考えてクレームなり怒りをぶつけていただけたらありがたいです。

 また、配達員の方も注文された方に怒りをすべてぶつけるのではなく、この怒りの何割が注文者起因のもので、何割が運営の不手際なのかを考えて、運営に入れるべきクレームはしっかり入れていくのが今後のサービスの向上に役立つと思います。

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