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ハローワーク利用の致命的なデメリット…実際の雇用条件が求人情報と違う例も

文=LUIS FIELD、協力=川畑翔太郎/UZUZ専務取締役
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厚生労働省のHPより

 就職活動を行う際に求人情報サイトや専属のキャリアアドバイザーに相談しながら自分に合った求人を探すエージェントサービスを活用するのが現在の主流だが、こうした民間のサービスだけでなく、厚生労働省が運営する「ハローワーク(公共職業安定所)」を利用する人も少なくない。ハローワークを利用する場合、まず氏名や住所、希望職種や勤務地、学歴や経歴などの求職者情報の登録が必要となる。その後、指定のパソコンで求人情報を検索して気になる求人があれば、求職相談窓口にて求人情報の詳細を聞いたり、求人に応募したりするという流れになる。

 厚生労働省の発表によると、年間で約120万人以上がハローワークを通じて就職している。実際にハローワークを利用した人からは「的確な情報提供をしてくれて助かった」といった声があがる一方で、「いい企業が全然見つからなかった」「スタッフによって対応が違いすぎる」といった不満の声も聞かれるのが現実のようだ。

ハローワークを使った就職活動のメリット・デメリットとは?

 ハローワークの利用には、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか。人材紹介事業を行う株式会社UZUZの川畑翔太郎氏に話を聞いた。

「ハローワークのメリットとして第一にあげられるのは、採用ハードルが低い傾向があることでしょう。どういうことかというと、採用する企業側は大手就活サイトでの情報掲載には安くても20万円以上は必要であり、エージェントサービスで採用を行う場合は、採用者の年収の35%が手数料として必要です。それだけの採用コストがかかっていると、自ずと『この人を採用すると◯万円かかるのか』と採用に対して慎重になります。

 しかしハローワークでは情報掲載も無料で、採用時の手数料などもありません。そのため、民間の就活サービスよりも気軽に情報掲載ができます。企業としては、民間の就活サービスであれば100万円以上のコストが必要なところ、求人コストを無料にできるため、その分、人材の厳選をしなくなる結果として採用ハードルが低くなる場合が多いです。

 また無料で情報掲載ができるので、掲載企業も多く、他の就活サービスでは掲載していないような地域に根付いた企業が求人情報を掲載している場合があります。なので、地元企業で働きたいと思っている人には適しているかもしれません。

 ハローワークのデメリットとしては、掲載企業が多い反面、働く側にとって必ずしも『良い条件の求人』だけが取り扱われているわけではない点です。そのため、月給が安かったり待遇が悪かったりする企業も多く含まれている可能性があります。また、ハローワークの求人情報の内容について、他の就活サービスに比べて文字数や画像数が少なく、企業情報や職務内容などがわかりにくい点もあげられます」(川畑氏)

ハローワークの求人情報には虚偽が少ない?

 求人の問題点として、よく取り上げられるのは虚偽の求人情報が記載されていること。例えば実際に入社した後に、求人とは違う業務内容や待遇だったことが発覚するというケースも。しかしハローワークの場合「募集条件などの掲載情報に虚偽が少ない」「希望内容とズレが少なくなる」などリスク回避に役立つという声もあるようだが、本当にそういったメリットがあるのだろうか。

「ハローワークの掲載情報だから信頼できるということはありません。むしろ、無料で情報掲載できるため、とりあえず情報掲載し、面接時に掲載された雇用条件とは異なる条件を提示するケースがあるくらいです。またハローワークの職員の大半が非正規職員である関係からか、モチベーションや関連知識が乏しい担当者もおり、劣悪な労働環境の企業をスクリーニングしきれていないことがあります。

 一方、民間サービスの場合は、掲載できる情報量が多いことや、利用者から掲載情報の虚偽について苦情が出た際に、虚偽情報を出していた企業を情報掲載禁止にするケースもあります。一概には言えませんが、市場競争にさらされている分、ある程度信頼できるでしょう。

 またエージェントサービスの場合は、もし企業に紹介した人が早期退職してしまった時は、エージェントサービスから企業への紹介料金の返金が発生することもあり、企業と求職者のニーズの不一致がないように、よりいっそう慎重に紹介しているのが現状です。

 とはいえ民間サービスならではのデメリットもあり、特にエージェントサービスでは就職斡旋数の社内目標を達成するために、求職者のニーズを無視して採用されそうな企業を紹介したり、企業のニーズを無視して手当たり次第に多くの人を面接させたりと、自社の利益を優先する担当者も存在します。このような担当者にあたってしまうリスクを避けるためにも、エージェントサービスを利用する場合は、複数の会社のサービスを並行して使うことをおすすめします」(同)

ハローワークを使った就職活動が向いている人、不向きな人

 ハローワークのメリットとデメリットが明らかになったが、どのような求職者がハローワークの利用に向いているのだろうか。

「ハローワークには、その地域に根付いた企業の求人情報が集まる傾向があります。そのため、地元企業で働きたい人や、民間の就職サービスには掲載されていないがハローワークには掲載されている企業でどうしても働きたい人の就職活動には向いています。

 逆に地元企業へのこだわりがない人や、多くの情報を吟味して就職先を決めたい人には、ハローワークでの就職活動にはあまりメリットはないでしょう」(同)

ハローワークを利用して就職活動をする際の注意点

 最後にハローワークを利用する際、注意するべき点について聞いた。

「ハローワークのデメリットである掲載情報の少ない点や、職員の大半が非正規社員であり、就職斡旋数の組織内目標などもなく、仕事に対するモチベーションが低い職員が存在する点から、自分である程度の情報収集をする必要があります。

 そのためハローワークを主に利用するにしても、気になる企業の情報収集をするためにも民間の就職サービスを併用することをおすすめします」(同)

(文=LUIS FIELD、協力=川畑翔太郎/UZUZ専務取締役)

川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役

川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役

1986年生まれ。株式会社UZUZ
COLLEGE代表取締役、UZUZグループ専務取締役。鹿児島出身で高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻し、住宅設備メーカーINAX(現:LIXIL)に入社。1年目から商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動。毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。自身のキャリアチェンジのため、UZUZ創業に参画。これまでに累計2,000名以上の就業サポートを実施。IT分野の教育研修サービス「ウズウズカレッジ」だけでなく、自治体の公共事業受託、企業ブランディングを担当。IT分野のリスキリングは「ウズウズカレッジ」をご活用ください。
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