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無印良品「印字フォント変更」に拒否反応も…古臭さ脱却で若者層取り込みか

文=Business Journal編集部
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無印良品「敏感肌用シリーズ」新パッケージ(公式HPより)

 無印良品(運営会社:良品計画)が「敏感肌用シリーズ」「エイジングケアシリーズ」など一部商品のパッケージに印字されている文字フォントを変更したことが話題を呼んでいる。従来の「ゴシックMB101」から「游ゴシック」とみられるフォントへ変更されたのだが、SNS上では無印ファンを中心に慣れ親しんだフォントの変更に違和感を示す声が続出する一方、新たな顧客層を獲得するための良品計画の用意周到な戦略が透けてみえるとの見解も出ている。誕生から45年目を迎える無印良品はさらなる成長に向け新たなフェーズに入ろうとしているのか。専門家の見解を交え追ってみたい。

「生産プロセスを徹底して簡素化することでシンプルで低価格の商品を生み出すこと」をコンセプトに掲げ1980年に誕生した無印良品は現在、日本を含む32の国・地域に進出し、国内597店舗、海外654店舗を展開(2023年8月期末現在)。多くの固定ファンを抱えるブランドだが、なかでも年間累計2500万個を販売するスキンケアシリーズのなかで高い人気を誇るが「敏感肌用シリーズ」だ。

 無印良品はその同シリーズを昨年9月に全面リニューアルした。

<天然水を使用するなどの特長は残しつつ、天然由来成分100%になりました。肌へのやさしさと効果にこだわり、肌が本来もっている保湿機能に着目した処方に生まれ変わりました。うるおい成分として3種の植物エキスと敏感肌に不足しがちなセラミドや5種のアミノ酸を配合し、健やかでみずみずしい肌に導きます。また保湿成分の配合量を増やしたことで従来品と比べ保湿力をアップしています>(公式HPより)

 また、他のスキンケアシリーズとも合わせて使用できる「発酵導入化粧液」と「ふき取り化粧水」も次のようにリニューアルされた。

<「発酵導入化粧液」は、うるおい成分として米ぬか発酵液、セラミドを新たに配合しました。化粧水の前に使用し、保湿成分が角質層まで浸透しやすいなめらかな肌に整えます。保湿成分の配合量を増やしたことで、導入化粧液自体の保湿力もアップしています。

「ふき取り化粧水」は、角質ケア成分の乳酸を新たに配合し、古い角質や毛穴の汚れ、皮脂を取り除きます。新たに配合したユーカリ葉エキスとグレープフルーツ種子エキスのうるおい成分が、なめらかで透明感のある肌に整えます。これまでの保湿感は変わらず、拭き取り後のべたつきを抑え、さらっとした仕上がりになりました。敏感肌の方にもご使用いただける低刺激性です>(公式HPより)

 リニューアルに際し新商品として「クリーム化粧水」を発売。化粧水の肌なじみのよさと乳液のような保湿力をあわせ持った特殊な乳化技術を用いて植物由来のスクワランオイルを贅沢に配合し、健やかでもっちり柔らかな肌に整える化粧水だという。

 中身の変更に伴いパッケージも変更。円柱型のボトルの形状は上部が「なで肩」型になり、素材も100%再生プラスチック(PET素材)を使用したリサイクルボトルを採用。無印良品の店頭で回収したPET素材の化粧水・乳液などのボトルを、化粧水等のボトルに再利用する「ボトルtoボトルリサイクル」の取り組みも開始される。

かなり踏み込んだ大きな変更

 そんなリニューアルをめぐり話題となっているのが、商品名などの印字フォントの変更だ。これまでの「ゴシックMB101」から「游ゴシック」とみられるフォントに変わったのだ。商業デザイナーはいう。

「ゴシックMB101は一昔前に多用されていた『がっしり』したフォントで、見る人に信頼性を与えるが、今の人が見ると、ややボテっとした感じや文字が角角した感じを抱くかもしれない。なので、線が細く曲線チックで優しいイメージを与える游ゴシックに変えることで、今風に調整したと思われる。また、従来のデザインでは横書きの各文字列の間にラインが入っており、今のトレンド的にはやや古臭いので、新デザインでは消されている点も大きな変更。これまでの各文字列のセンタリング(中央寄せ)も一歩間違うとダサいという印象を与えかねず、今のトレンドでは『よりナチュラル』だとされる左寄せになっているのもポイント。全体的に見て、今回のデザイン変更はマイナーチェンジというよりは、かなり踏み込んだ大きな変更といっていいのでは」

 昨年9月24日付「モデルプレス」記事によれば、無印良品のメインユーザーは40~50代の女性であり、今回のリニューアルには無印良品のスキンケアアイテムを使ったことがない層を取り込む意図もあるという。

「1990年代にはすでに流行していた無印良品だが、商品パッケージの基本線はここ20年以上変わっていない。日本がバブル景気に浮かれるなか、それと逆行するかのようなシンプルなデザインは当時は斬新だったが、さすがに20年以上たてばデザインのトレンドも大きく変わるので、古臭さが出てくるのは避けられない。ブランドとしては徐々にデザインを進化させていくのは当然。無印良品のメイン客層は、流行り出した頃に10~20代で、それからずっと愛用しているという女性客。こうした固定客のなかには慣れ親しんだデザインが変わってしまうことに拒否反応を示す人もいるだろう。一方、今の20~30代の消費者は非常にコスト意識が厳しく、割高な価格帯の無印良品に対し『高級品』というイメージを持つ人すらいるほどで、なじみが薄い人も少なくない。無印良品としては、将来の持続的な成長の観点から、そうした層の取り込みが必要だと考えているのではないか」

 無印良品は公式HP上で自らの目指すべき姿を次のように定義している。

<当初はノーデザインを目指しましたが、創造性の省略は優れた製品につながらないことを学びました。最適な素材と製法、そして形を模索しながら、無印良品は「素」を旨とする究極のデザインを目指します。一方で、無印良品は低価格のみを目標にはしません。無駄なプロセスは徹底して省略しますが、豊かな素材や加工技術は吟味して取り入れます。つまり豊かな低コスト、最も賢い低価格帯を実現していきます。このような商品をとおして、北をさす方位磁石のように、無印良品は生活の「基本」と「普遍」を示し続けたいと考えています>(「無印良品の未来」より)

(文=Business Journal編集部)

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