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デジタルとアナログの融合…ネタマッチ 2024年春夏合同記者発表会

文=横山渉/ジャーナリスト
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ネタマッチ 2024年春夏合同記者発表会

「ネタマッチ 2024年春夏合同記者発表会」が2月21日、コングレスクエア日本橋(東京・日本橋)で開催された。今回で4回目を迎え、同発表会には11社(フジッコ、理研ビタミン、ヤマサ醤油、ニチバン、キユーピー、エスビー食品、鈴廣かまぼこ、丸大食品、マルハニチロ、おやつカンパニー、CJフーズジャパン)が参加し、メディア向けに新商品やイチ押し商品を紹介した。

 プレゼン発表は3部に分かれて各社登壇し、集まったメディア関係者約120人、インフルエンサー約10人が参加企業のプレゼンに熱心に聞き入っていた。

 商品ブースは終日展示で、参加企業にとってはメディア関係者と名刺交換しながら直接情報交換できるのが最大の魅力だ。回を重ねるごとに参加企業が増えており、食品およびヘルスケア分野では貴重なマーケティングの場として注目されている。

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 第一部のプレゼンで最初に登壇したのはフジッコ。昆布佃煮製品ではシェア50%を誇る、昆布と豆のリーディングカンパニーだ。昆布産地で起きている2つの危機、温暖化による生産量減少と昆布漁師の高齢化および後継者不足について訴えた。

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 次に登壇したのは、ノンオイルドレッシングで有名な理研ビタミン。ノンオイルは低カロリーでヘルシーであるとして長年評価されてきたが、このほどノンオイルの価値を「おいしいノンオイル」に再定義したという。健康への関心が高いユーザーだけでなく、純粋に美味しさをもっと評価してもらおうとのマーケティングだ。また、「ふりかけるザクザクわかめ 生姜香る ねぎ塩味」などの新商品も併せて紹介した。

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 3社目のヤマサ醤油は、新ジャンルの麺メニュー「ラーメン風そうめん」を提案した。空前のラーメン人気は今や外国人がわざわざ日本に食べに来るほどだが、一方でそうめんと言えば、真夏だけに食される季節限定食品の趣が強い。そこで同社は、そうめんをラーメンのような濃厚な味わいと満足感で食べられるストレートつゆ「麺屋一杯」を発売した。

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 4社目は「セロテープ」で有名なニチバン。セロテープは同社の商品名であり登録商標だが、セロハンテープの代名詞になった商品だ。同社は救急絆創膏として「ケアリーヴ」を展開してきたが、このほど新ブランドとして「ガッチリバン」を立ち上げた。救急絆創膏への不満点として、水に弱いというユーザーの声があったからだ。優しさだけでなく耐久性を兼ね備えた商品を開発したという。

生身の担当者がコミュニケーションする大切さ

「ネタマッチ合同記者発表会」の主催はエムスリー・カンパニー。同社は食品やヘルスケア分野に特化してマーケティングコンサルティングなどを提供するPR会社で、食品・ヘルスケア企業と各種メディアをつなぐマッチングサイト「ネタマッチ」を軸に食品企業の広報活動を支援している。同社代表の松本淳氏に合同記者発表会立ち上げの経緯を聞いた。

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エムスリー・カンパニー代表の松本淳氏

「2020年にコロナ禍となり、メディア関係者と広報活動を代行する私たちがなかなかコミュニケーションを取りづらくなりました。そこで、私たちがオンライン上で情報発信して、メディアの皆さんが取材対象に直接会わなくても情報収集できる場を作りたいと考え、新しいサイトを立ち上げました。それがネタマッチというメディアです。もともとその背景には、企業の皆さんの広報活動を内製化することをサポートしたいという思いがありました。PR会社に出すとか、広報会社に出すのではなく、ご自身たちでできるような形にしていくことも私たちの役割の1つだと思っており、合同記者発表会という形になりました。また、企業の皆さんとメディアの皆さんがコミュニケーションを取りやすくする場を作りたいということもあり、ブース出展もしていただいています」(松本氏)

 今回も出展しているのは大手一流企業ばかりで、毎日のようにテレビCMで見ている会社もある。広告市場全体で言えば、新聞やテレビなどオールドメディアの広告費は毎年減り続け、企業広告はウェブコミュニケーションが中心になってきた。

「必ずしもすべてオンラインにすれば良いと思っているわけでもなく、アナログでやる部分、要は生身の人たちがコミュニケーションするということが広報活動にとってすごく重要だと考えています。相互コミュニケーションしやすい場はオートメーション化してオンラインにしたりデジタルにして、メディアの皆さんと企業の皆さんの距離を近づける、というのが大事かなと思っています」(同)

初参加フジッコの狙いは

 フジッコは今回が初参加で、取締役上席執行役員の寺嶋浩美氏にその狙いを聞いた。

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フジッコ・取締役上席執行役員の寺嶋浩美氏

「当社では広報室を昨年初めて立ち上げました。商品の広告宣伝を担当する宣伝部はあったのですが、今は商品に込めたさまざまな企業理念や姿勢を伝えることが重要な時代だからです。そして、働き方改革やSDGsへの取り組みも発信するという体制を社内で整えてきました。ただ、そうは言っても、やはり記者さんたちと直接お会いするのは、これまでの人間関係づくりがなかっただけに、本当にすごく難しいことだと感じました。さらに、コロナ禍で記者さんも在宅で仕事をされたりすることが増える中で、当社の情報を発信させていただくことがなかなかできにくくなっていました。

 今年も新商品をどうやってお知らせしていこうかと考えたときに、もちろん自社で新商品発表会を開催することも検討に上がったのですが、やはり一社で呼べる記者さんは限られてしまうので規模の小さなものになってしまうのが課題でした。そんなとき、今回の合同記者発表会にお誘いいただき参加することになりました」(寺嶋氏)

 同社がプレゼンしたのは、昆布生産地で起きている2つの危機であり、海から引き上げた昆布を乾燥させる工程が実は昆布漁師にとって重労働であることを訴えた。その問題を解決すべく同社は生昆布を使って商品化に取り組み、そこから生まれた新商品が「ふじっ子煮MIRAI」だ。乾燥作業を省くことで漁師たちの労働負担が軽減されたという。まさにSDGsの発想から生まれた商品といえる。

 寺嶋氏は、今回初参加してみて貴重な機会であると実感したと話す。

「展示会や試食会はこれまでもずっとやってきましたが、こうしてメディアの皆さんにきちっと商品説明でき、試食していただけるという発表会というのはありませんでした。記者クラブにお邪魔して商品をサンプリングさせていただいたりはしていましたが、試食後すぐに感想を伺うことはできませんでした。リアルな相互コミュニケーションの場に感謝しています」(同)

 メディア関係者にとっても業界トレンドやメーカーの意識を知るうえで、こうしたイベントは貴重な場であることは間違いない。

(文=横山渉/ジャーナリスト)

横山渉/フリージャーナリスト

横山渉/フリージャーナリスト

産経新聞社、日刊工業新聞社、複数の出版社を経て独立。企業取材を得意とし、経済誌を中心に執筆。取材テーマは、政治・経済、環境・エネルギー、健康・医療など。著書に「ニッポンの暴言」(三才ブックス)、「あなたもなれる!コンサルタント独立開業ガイド」(ぱる出版)ほか。

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