イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」。リーズナブルな価格ながら顧客の声を生かした商品ラインナップで人気を博し、ファミリー世帯から単身世帯までファンは幅広い。
そんなトップバリュだが、実は4つのブランドに分かれていることはご存じだろうか。ブランドロゴは色で差別化されており、下記がその一覧だ。
・ピンク色のロゴ:「生活品質向上ブランド」となる「トップバリュ」
・黄色のロゴ:「地域いちばんの低価格を目指すブランド」である「トップバリュ ベストプライス」
・緑色のロゴ:「体へのすこやかさと自然環境へのやさしさに配慮した安全・安心ブランド」と銘打つ「トップバリュ グリーンアイ」
・黒色のロゴ:「こだわりぬいた最上質の体験を提供するブランド」とリッチな「トップバリュ セレクト」
それぞれのブランドでは、販売する商品のラインナップや品質が異なっており、売れ筋商品の傾向も違うようだ。
たとえば、スタンダードブランドであるトップバリュでは、1000mLも入った「ニュージーランド産の生乳を使用バニラアイスクリーム」(429円)が人気となっており、実際にネット上の掲示板でも「美味い」「1Lで400円って安すぎない?」と話題だ。
もちろん、ほかのブランドにもそれぞれおすすめ商品がある。そこで今回は、家事アドバイザーとして活動する矢野きくの氏に、トップバリュ4ブランドの賢い活用法を伝授してもらった。
※商品の価格は、少数第1位以下を切り捨てして計算しています。
食品、ファッション、美容品などバラエティ豊か
はじめに、ネット上の掲示板で話題になった「ニュージーランド産の生乳を使用バニラアイスクリーム」だが、なぜ高く評価されているのだろうか。
「やはり429円で1Lというボリュームのコスパのよさで重宝されているからでしょうね。なかでも注目してほしいポイントとして、成分表示が『ラクトアイス』などではなく『アイスクリーム』になっていること。『アイスクリーム』の分類になるには乳固形分が15%以上、乳脂肪分が8%以上必要なんです。『ラクトアイス』なら格安の商品もあると思いますが、『アイスクリーム』でこの値段は破格ですね。イオンでは独自の仕入れ先を確保していることからコストを安くでき、商品化できたのでしょう」(矢野氏)
確かに、他社PBのアイス商品もリーズナブルだが、「アイスクリーム」表示より乳固形分、乳脂肪分が少ない「アイスミルク」や「ラクトアイス」表記の商品が多いようだ。
さて、食品に強いトップバリュだが、実は意外にもほかのジャンルでも注目してほしい商品が多いという。
「現在のトップバリュ全体では、食品をはじめとしてファッション、美容品、消耗品など幅広いジャンルを取り扱っています。主に4つのブランドに分かれていますが、近年ではスタンダードとなるピンクのトップバリュから、ほか3つのブランドにどんどん分化している傾向にあります。そのため、ブランドを使い分けるには、それぞれのブランドが強みとする特徴を知る必要があるんです」(同)
意外にファッションが充実、食品はリーズナブル
では、4つのブランドの強み、おすすめの商品について教えていただこう。まずはスタンダードブランドとなるピンク色のトップバリュからだ。
「食品や日用雑貨、ペット用品などのジャンルもありますが、何よりファッションの品数が多いブランドとなっています。
公式ホームページを確認すると、食品が241件であるのに対し、ファッションはなんと2738件(※2023年6月5日現在)。季節ごとにマッチする衣服が揃っていますが、なかでもおすすめなのが機能性インナーである『ピースフィット』シリーズです。こちらは夏、冬の時期に合わせてそれぞれ清涼、防寒インナーを販売しており、快適に過ごすことができます。
ほかにも有名デザイナーとコラボした商品もあり、意外に思われるかもしれませんが、きちんとオシャレなアイテムも多いのが特徴です。また、イオンは『ユニクロ』『GU』を擁するファーストリテイリングよりも低い価格帯の衣料品専門店を展開していくとも発表しています。今後もイオンの衣料品からは目が離せないでしょう。
もちろん食品にも強く、たとえば事前に骨を取り除いて身を四角くカットした『パパッとできる骨取りお魚おかず』シリーズは、手軽に調理ができて便利。たら、あじ、サーモン、ぶり、さばと種類が多いのも評価できるポイントですね」(同)
次に黄色のトップバリュ ベストプライスは、さらに食品の品ぞろえを強化したブランドになっているという。
「こちらは、より食品、日用雑貨、消耗品に特化したブランドといえます。スタンダードのトップバリュから移行してきた商品が多くなっており、より安く、リーズナブルさを志向したブランドを目指しているんです。
やはり食品が充実しており、ちくわや冷凍パスタなど普段使いする商品ばかりであり、ほとんどが100~300円の間で購入できます。特に人気なのが、第3のビールである『バーリアルグラン』(350mL/118円)。クリアな飲み口、後味のすっきりさが評判で、安さもあってSNSを中心に話題を集めていましたね。
一方で消耗品のラインナップもゴミ袋から洗剤、食品保存ラップなど幅広いです。なかでも、『IHガスレンジ用クリーナーシート』(107円)は22枚入りでこの価格なので、100円ショップよりも安くなる場合があります。このように、よく見たら掘り出し物がたくさんあるのもベストプライスのユニークなところですね」(同)
SDGsに配慮した商品も、化粧品の勢いも上昇中
続いて、緑色のトップバリュ グリーンアイだが、自然環境への配慮と安全・安心をウリとするブランドだと聞く。具体的に、どのような取り組みをしているのか。
「オーガニック野菜や加工品をはじめ、フェアトレード(発展途上国など経済的に弱い立場にある生産者に対し、適正な価格で継続的に購入する取引)に力を入れているブランドです。イオンはかねてから社会的に公平な取引に注力している企業でして、同業他社よりも一歩進んでいる印象です。したがって、環境やSDGsに配慮した商品を購入したいという消費者でしたら、ぜひとも利用を考えていただきたいブランドだといえます。
ラインナップとしては、カット済みの冷凍野菜やオーガニック野菜のほかにフェアトレードのチョコレート商品が挙げられます。『オーガニック フェアトレードカカオ72%オレンジチョコレート』(429円)などは適度に渋みもありつつ、まろやかなカカオの味わいとオレンジの風味が楽しめて美味しいですね。オーガニック商品というと、値段も張りそうですが、同業他社に比べると安めなので、気になる方はぜひ試しに購入してみてください」(同)
最後のブランドである黒色のトップバリュセレクトは、ゴージャスな印象を受けるブランドだ。矢野氏が考える注目ポイントを教えていただきたい。
「タスマニアビーフを使用したローストビーフやハンバーグ、国産食品を使用した加工品など、ほかのトップバリュブランドと比べて値段が高い分、少しリッチな商品が多いです。あらかじめ調理されている商品がほとんどで、特にタスマニアビーフは自社工場生産となっており、関連商品は安めに購入できるのも素晴らしいです。特に『タスマニアビーフカレー』(278円)はおすすめ。ステーキの端肉を使っている分、安くすることができてお買い得ですし、辛さも甘口、中辛、辛口の3種類と嬉しい配慮がされています。
一方で最近は、化粧品の充実ぶりもすさまじいです。一般的な化粧品メーカーが使用している成分が入った化粧品を用意しており、価格も安いと評判です。普段使いしている化粧品と成分が全く同じであれば、乗り換えもアリでしょう。ですから化粧品全般は、すべて一度試してみてもいいかもしれませんね」(同)
4色のブランドはそれぞれ方向性を変え、違った個性を出しているようだ。では、矢野氏なりのトップバリュの賢い使い方について教えてもらおう。
「自分のニーズと照らし合わせてみるというのが一番のポイントですね。安さを重視するのであればベストプライス、少しでも環境に配慮したいのであればグリーンアイ、ちょっと美味しい肉を食べたければセレクトといった具合に、自分が何を求めているかを頭に入れておけば、ロゴの色ですぐに判別できて賢い買い物ができるはずです。
スタンダードのトップバリュも、商品によってはほかのブランドとは異なる製法や素材になっています。たとえば、醤油だけでもスタンダード、ベストプライス、グリーンアイにそれぞれ存在するので、迷っている方はネットや店頭で見比べてみてください」(同)
(取材・文=文月/A4studio)