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アルファード、納期1年&500万円超えでも街中に多数…どうやって入手?

文=Business Journal編集部、協力=桑野将二郎/自動車ライター
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トヨタ「アルファード」(「Wikipedia」より/Benespit)

 トヨタ自動車の「アルファード」の人気が収まらない。昨年6月の新型車発売直後は注文から納車までのリードタイムが2年ほどになる事例も出て、受注停止の動きも広まった。現在も納車までに通常以上の時間を要するとトヨタはアナウンスしており、また価格が500~800万円台と高価なことから「手に入りにくい車」となっている。にもかかわらず街中ではアルファードを目にする機会が少なくなく、「どうやって入手しているのか」と疑問の声も一部ではあがっているようだ。そこで、専門家の見解を交えて追ってみた。

 2020~21年の年間販売台数が9万台を超えミニバンでは1位となっていたアルファード。22年には翌年に新型車の発売を控えていたことや受注制限があったことで6万台に落ち、23年も受注停止の影響もあり5万台となったものの、現在でもトヨタが「車種によっては当初予定の納期に間に合わない場合がございます。また、現在車両の購入をご検討中のお客様におかれましては、車両のお届けに通常以上にお時間を頂戴する場合がございます」(公式サイトより)と呼び掛けるほど人気が高い。

「国産のLクラスミニバンとして事実上のライバルとなるホンダ『オデッセイ』と比較すると、乗り心地などオデッセイが勝っていると感じる部分も多いものの、やはり主要ユーザーのファミリー層からは、室内空間の広さや使い勝手の良さといった“わかりやすいメリット”が受け入れられている。また、かつてアルファードはトヨペット店の専売だったが、2020年にトヨタ系ディーラー(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)全店舗での全車種併売化によりトヨタ系全店で買えるようになった点が大きい。これにより、同じトヨタの『クラウン』や『ヴェルファイア』、さらには『プリウス』や『アクア』のユーザーの一部がアルファードに流れ一時は『アルファード一強』といえる状況になった。

 加えてリセールバリューが高いという魅力もあるが、高額ゆえにディーラーが得られる利幅や信販会社からもらうバックマージンも大きいため、ディーラーが積極的にアルファードを売ろうとしているという面も大きい」(ディーラー関係者)

納車は早くても約1年後の25年3月?

 昨年6月には新型車が発売され注文が殺到し、20年頃から続いていた世界的な半導体不足のなかで納車が未完了の「受注残」が積みあがっていたことも影響して、一時は受注を停止するディーラーも出ていた。現在の販売店の現場における受注の受付状況や納期はどうなっているのか。中古車販売店経営者で自動車ライターの桑野将二郎氏はいう。

「現行型アルファード&ヴェルファイアは昨年6月の新型発売後、早々に納期見込みが1年を超えたため受注を止めました。先代モデルも人気が高かったのですが、22年春の時点ですでに納期が1年以上だったため、フルモデルチェンジの昨年6月までおよそ1年間、受注停止をしていました。人気車種であるがゆえ歴代保有台数が多く、ユーザーは新型車が登場するたびに買い替えていくケースも多いため、新型車の受注開始から短い期間で大量の注文が殺到し、あっという間に納期遅延状態になってしまうという現象が起こります。

 新車はディーラーごとに割り当て台数が決まっていますので、納期遅延が発生すると長期にわたって同様の現象が続きます。アルファード&ヴェルファイアの登録台数は1カ月あたり7000台前後と、プリウスやアクアと同等ですが、生産枠が抽選となることもあり、もし今契約ができたとしても納車は早くても約1年後の25年3月になる模様です。ちなみに、ディーラーによってはすでに来年夏頃までの枠が埋まっており(抽選はすでに終了)、次の新たな注文は24年9月以降であり、具体的なスケジュールは未定といわれています。

 これは捉え方によるところですが、前述のとおりアルファード&ヴェルファイアは生産台数が少ないわけではなく、受注件数に対して生産台数が足りていないのであって、生産供給の台数が少ないわけではありません。よって街中で新型のアルファード&ヴェルファイアの走る姿を頻繁に見たとしても、不思議ではありませんよね。

 なお、生産効率が落ちているかという点に関しては、コロナ以降の半導体不足などの影響が完全に解消されていないことや、配線関係(ワイヤーハーネスなど)や塗料などの供給不足も影響しているようです。納期遅れにはこういった要因も少なからず影響しているのかもしれません」

残価設定ローンやKINTO

「手に入りにくい」理由としては、納期面に加えてメーカー希望小売価格が540~872万円(税込)と高額である点も挙げられる。現金一括で購入する人は限られると考えられるが、乗っている人はどのような方法で入手しているのか。

「こちらも前述のとおり、アルファード&ヴェルファイアは歴代保有台数が多く、ユーザーがモデルチェンジごとに買い替える需要も高いため、残価設定ローンでの買い替えや、最近ではサブスクスタイルの『KINTO』を利用するユーザーも増えています。KINTOは月あたりの走行距離に1カ月1万5000kmという制限があるため、設定した距離を超えると超過料金が発生したりするものの、主に週末だけ使用するユーザーにとっては使い勝手が良いと思われます。契約期間を選択できますし、解約金がかからないプランもあるため、買い替え時期をモデルチェンジのタイミングにしているユーザーにはちょうど良いと感じられるようです。

 また、アルファード&ヴェルファイアはドライバーズカーとしてだけでなくパッセンジャーカーとしても需要があり、社用車として利用されているケースも多いため、法人リースで乗られている台数もそれなりにあると思われます」

 残価設定ローンとは、購入時点で将来の下取り価格を設定して、車両価格からその下取り価格を差し引いた金額に対してローンを組むことで月々の返済額を抑えられるというもの。3年や5年など設定した期間が経った時点で同じ販売店で新しい車に乗り換えることができる一方、銀行のマイカーローンに比べ金利が割高で、車の所有者はディーラーや販売店になるため交通事故などで廃車になった場合はローンを一括精算したうえで残価も支払わなければならない。

 また、「KINTO」はトヨタが運営するサブスクサービスであり、アルファードは最安値グレード・パッケージ、追加オプションなし、ボーナス併用払いなし、初期費用フリープランの場合、5年契約だと初回の申込金は0円、月額利用料が8万630円となっており、中途解約の場合は解約金(約9~121万円/契約月数によって異なる)が発生する。 

(文=Business Journal編集部、協力=桑野将二郎/自動車ライター)

桑野将二郎/自動車ライター

桑野将二郎/自動車ライター

1968年、大阪府生まれ。愛車遍歴は120台以上、そのうち新車はたったの2台というUカー・ジャンキー。中古車情報誌「カーセンサー」の編集デスクを務めた後、現在はヴィンテージカー雑誌を中心に寄稿。70~80年代の希少車を眺めながら珈琲が飲めるマニアックなガレージカフェを大阪に構えつつ、自動車雑誌のライター兼カメラマンとして西日本を中心に活動する。
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