日本初のIR(統合型リゾート)として計画されている大阪IRは、2030年秋ごろに開業予定です。IRに関する取り組みは、日本のみならずアジア近隣諸国でも近年活発化しています。
一般的にIRと聞くと、バカラやルーレットなどのカジノゲームを連想されがちですが、実際には国際展示場や大型コンサート会場、高級ホテルなど、ゲーム以外の施設も多く備えており、近年はそんなノンゲーミングエリアからの収益が重視されています。
そこでこの記事では、アジア各国におけるIRやカジノ産業の現状について、国別にわかりやすく解説していきます。
マカオ
マカオのカジノの歴史は古く、1800年代にまで遡ります。当時からカジノは合法化され、その伝統は現在まで200年以上も続いています。以前は、ホテルとカジノが一緒になったサテライトカジノが主流でしたが、今では異なるIR施設が複数存在します。
例えば、世界最長の流れるプールを誇るウォーターパークを備えた「ギャラクシー・マカオ&ブロードウェイ・マカオ」が代表的なIRとして挙げられます。これらの施設は、カジノだけでなく、レジャー施設としても高い知名度を誇っています。
シンガポール
シンガポールのIRは、2005年に閣議で決定された「IR開発推進計画」によって、世界的に認知される滞在型リゾート施設やアジアの観光客を惹きつける観光地、単なるカジノ施設にとどまらない最先端の複合観光施設としての要素が取り入れられました。
その結果、ビジネス・コンベンション客向けIR「マリーナベイ・サンズ」と、家族・レジャー客向けIR「リゾート・ワールド・セントーサ」が2010年に開業しました。今や、この2つのIRは、シンガポールを代表する最大の観光スポットと言っても過言ではありません。
フィリピン
フィリピンはIRへの投資が活発な国の一つです。2011年に誕生したニノイ・アキノ国際空港ターミナル3の向かいに位置する好立地の「リゾーツ・ワールド・マニラ」を皮切りに、フィリピンは続々とIRをマニラにオープンさせてきました。現在、フィリピンにはマニラを拠点にした4つのIRが点在しています。
フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)のアレハンドロ・テンコ会長は、今年(2024年)に入ってからIRにおける経済発展を見込んで、国内外の企業が今後5年間で最大60億ドル(約9000億円)を投資する計画があると述べています。また、マニラ郊外のクラークやセブ島などでも、1年おきに少なくとも1カ所の新しいカジノリゾートがオープンする予定だとしています。
カンボジア
カンボジアは、ラスベガスやマカオほどの大規模なカジノ施設はありませんが、政府が認可しているカジノは100を超え、カジノ産業が発展している国の一つです。
カンボジアの統合型リゾート(IR)には、首都プノンペンにある唯一のカジノ施設「ナガワールド」があります。この施設は、香港株式市場に上場しているナガコープ社が運営しています。
2020年に制定されたゲーミング法には、観光促進、経済成長、雇用機会の増加を目指す内容が含まれている他、統合型リゾート管理・商業賭博委員会が設立されていることから、国がこの分野で積極的に支援していることがわかります。そのため、今後、統合型リゾートへの動きが活発化すると予想されています。
韓国
1960年代から始まった韓国のカジノ産業は、近年IR施設として注目されています。2017年に誕生した「パラダイスシティ」を皮切りに、今年2024年に開業した「インスパイア」など、魅力的なIR施設が登場しています。今後も、さまざまな地域で新しいIR施設の計画が進行しているということで、カジノ業界の動向に注目が集まっています。
アジア諸国のIRが描く未来
IR施設は、単なるカジノ施設にとどまらず、多彩なエンターテインメントや観光産業との融合が近年注目されています。カジノを複合するということで、課題も多くありますが、日本の大阪IRの開業だけでなく、アジア各国で新たなIR施設の誕生が計画されています。
今後、各国のカジノを含む複合施設IR産業は、地域経済の活性化や観光客の誘致に大きな影響を与えることが期待されます。
※本稿はインフォメーションです。