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「油臭い」…セブンイレブン再挑戦のレジ横ドーナツ、味が普通で不穏な気配

文=Business Journal編集部
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セブン-イレブン新商品「お店で揚げたドーナツ」

 大手コンビニエンスストアチェーン・セブン-イレブンは、2017年に撤退したレジ横でのドーナツ販売を7年ぶりに手掛ける。本日3日から首都圏の約5000店舗で販売を開始した。なぜセブンはレジ横ドーナツに再挑戦するのか。そして、店内で調理した揚げたてドーナツのクオリティはどう評価されるのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 過去にセブン-イレブンが全国の店舗でドーナツの販売を本格的に始めたのは2014年のことだった。「セブンカフェドーナツ」というシリーズ名で、首都圏では「チョコオールドファッション」「ふんわりリング」「ダブルチョコレート」「もちもちスイートリング」「いちごチョコオールドファッション」「ホイップ」などが揃えられていた。

 コンビニ最大手の動きに追随するかたちでファミリーマート、ローソンなどもドーナツ販売に力を入れ、ドーナツ専門チェーンの「ミスタードーナツ」「クリスピー・クリーム・ドーナツ」にとって脅威になるとも予想されたが、蓋を開けてみればセブンは17年にはレジ横での販売から撤退し、その後はパン類の陳列棚に袋入りのドーナツを並べる形態に変更。一方、ミスタードーナツは一時期の低迷から復活し、現在の業績(運営元のダスキンのフードグループ)は好調だ。

「セブンは13年にレジ横に設置した専用マシンで入れたてコーヒーを提供する『セブンカフェ』を開始し、これが大ヒットした。この戦略の延長線上で、コーヒーのお供にドーナツを買わせることを狙った。開始当初はそこそこ売れたものの、肝心のドーナツがこれといって特徴のない商品だったため、徐々に売れなくなった上にレジ横の専用陳列ボックスが非常にスペースを食うし商品の補充が面倒ということで店舗からは不評で、撤退に追い込まれた」(コンビニチェーン関係者)

なぜ今、再びドーナツなのか

 今回セブンがレジ横ドーナツとして発売したのは以下の3商品。

・お店で揚げたドーナツ(メープル):140円(税込、以下同)
 「メープル風味のドーナツを、もっちりふんわり仕上げました」(セブン公式サイトより)

・同(チョコ):160円
 「チョコレート味のドーナツを、もっちりふんわり仕上げました」(同)

・同(カスタード):160円
 「ふんわり食感の生地で、なめらかなカスタードを包んだドーナツです」(同)

 いずれも、購入時に受け取るグラニュー糖を袋に入れてシャカシャカと振ってまぶして食べるのが特徴だ。工場から店舗に冷凍された状態で商品が搬送され、店舗内で揚げて専用ボックスに陳列する。

 今回、セブンがレジ横ドーナツに再参入する理由について、コンビニチェーン関係者はいう。

「2年前から販売している店内で調理する揚げたてカレーパンが一定の人気を維持しており、製造と店舗への搬送についてカレーパンと同じラインを使うのではないかとみられてる。前回のレジ横ドーナツは工場で製造したものをそのまま販売する形態だったのに対し、今回は店内で揚げる“生ドーナツ”を謳っているが、なぜ今、再びドーナツなのか。その意図や理由はいまいちわからない」

感じられないヒットの可能性

 気になるのはドーナツのクオリティだ。年間1500種類以上のコンビニ飯を食べるコンビニグルメ研究家でサイト「いぬきちのコンビニ飯」を運営する「いぬきち」氏に聞いた。

「『メープル』はメープルの風味があって、ふんわりもっちりとした食感。カスタードは中のカスタードクリームがなめらかで、もっちり生地とのバランスが良いです。チョコはチョコの味わいと、ふんわりもっちり生地がよく合うといった印象です。そして、どれも店内調理することで時間の経過による油の酸化を最小限に留められるのが大きなポイントだと思います。ベーカリーコーナーにあるドーナツと比較すると、油の軽さは際立っており、これはお店で揚げたカレーパンも同様だと思います。

 あまり凝ったドーナツにせずにオーソドックスな種類を絞っているのもポイントだと思います。実際に食べてみると、大きくハズレることがなく、イメージ通りのドーナツで、味変としてグラニュー糖をまぶすことで自身にあった好みのドーナツがつくれるのも面白いと思います。1個140~160円で手軽に買える点やクオリティを考えると、かなりお得な印象を受けます。

 個人的には、ドーナツ目的ではコンビニには行かないものの、何かのついでに買えるという理由で購入すると思います。

 セブンは14年にドーナツのレジ横での販売を始め、17年に売上不振による撤退を余儀なくされました。もともとはコーヒーの販売に伴いドーナツも一緒にとの需要を見込んでいたようですが、この頃はドーナツ専門店の閉店も相次いでいた時期で、ドーナツ市場自体が右肩下がりだったこともあり、挑戦が失敗に終わった印象です。

 コロナ禍を経てテイクアウトの需要が増えたことで、今回改めて再挑戦したわけですが、以前のように一気に攻めることはせずに、まずは埼玉県での販売(24年6月24日から)で反響を確かめてから、埼玉県・千葉県・東京都と地域を拡大しています。これは一部地域での反響を確かめて全国展開へとつなげていった、同じく店内調理である『魯珈監修スパイスチキンカレーパン』や『銀座デリー監修辛口カレーパン』の手法と似ていると思います」

 コンビニチェーン関係者はいう。

「特段に強みとなるポイントや特徴があるドーナツとはいえず、実際に食べた人からは『油っぽい』『油臭い』といった感想も聞かれる。パン惣菜の陳列棚で売られている通常のドーナツと比べて、店内で揚げることによって何か優勢性が生じているとも感じられず、いたって普通のドーナツ。いわゆる“もっちり系”のドーナツで、オールドファッションやフレンチクルーラーではなく、たとえば『メープル』はミスタードーナツでいえば『シュガーレイズド』に近い。

 店舗数的にセブンのほうがミスタードーナツより圧倒的に多いため、アクセスのしやすさという面ではセブンに軍配があがるが、ミスタードーナツには常時、数十種類の商品が並んでおり、専門チェーンゆえにクオリティは高く、頻繁にバラエティーに富む季節限定商品も投入されている。なので、本当のドーナツ好きが、わざわざセブンで頻繁にドーナツを買うかは疑問だし、ドーナツに愛着のない人は買わないだろう。今回の新ドーナツが大きくヒットするという可能性はあまり感じられない。再挑戦も再び撤退という結果になる懸念もあるのでは」

 セブンは現在、レジ横ドーナツ以外にも、工場で製造されたドーナツとして、「チョコオールドファッション」(138.24円)、「カラフルチョコリングドーナツ」(149.04円)、「もちもちリング チョコ」(138.24円)、「もちもちリング シュガー」(138.24円)などを販売している(商品・価格は地域によって異なる)。また、ファミリーマートやローソンなど他のコンビニチェーンも各種ドーナツ商品を販売している。

(文=Business Journal編集部、協力=いぬきち/コンビニグルメ研究家)

いぬきち/コンビニグルメ研究家

いぬきち/コンビニグルメ研究家

年間1500種類以上のコンビニ商品を食べるコンビニグルメ研究家。「コンビニはテーマパーク」をモットーに公式サイト【いぬきちのコンビニ飯】を運営中。
いぬきちのコンビニ飯

Twitter:@inukichi666xyz

Instagram:@inukichi.conmeshi

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