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セブン新主力ドーナツは買うと損?小さく味も薄め…酷似と話題のミスドと食べ比べ

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト

 コンビニエンスストア大手セブン-イレブンが年明けから全国の店舗で随時本格販売を始める「セブンカフェドーナツ」。レジカウンター横のカフェマシンに並べて専用ボックスが設置される。同社はドーナツを、2013年に販売を開始し年間約5億杯を売り上げる大ヒット商品となった、セルフ式入れたてコーヒー「セブンカフェ」に次ぐ新たな主力商品に位置付ける。すでに関西地区では本格販売が始まっており、一部インターネット上などでは外観や味が「まるでミスド(ミスタードーナツ)」と話題を呼んでいるが、東京都内ではまだ10店舗で実験販売されているだけ。

 販売している店舗を見つけて、さっそく購入してみた。さらにミスドだけでなく、他のコンビニの袋入りドーナツも含めて食べ比べをしてみた。ちなみにローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスの3社の製造元は、すべて山崎製パンだった。

 まずは都内で販売されているドーナツの種類だが、チョコオールドファッション、ふんわりリング、ダブルチョコレート、もちもちスイートリング、いちごチョコオールドファッション、ホイップの6種類。このうち関西でも販売されているのはチョコファッションだけ。そのほかの5種類は、現時点では関西で扱われていないもよう。

セブン新主力ドーナツは買うと損?小さく味も薄め…酷似と話題のミスドと食べ比べの画像1「セブンカフェドーナツ」の6種類

(1)チョコオールドファッション

 まずはチョコオールドファッションから比較してみよう。これは文字通りミスドのチョコファッションの「そっくりさん」だが、ローソン、ファミマ、サンクスの袋入りにもそっくりさんがいる。

セブン新主力ドーナツは買うと損?小さく味も薄め…酷似と話題のミスドと食べ比べの画像2各社のチョコオールドファッションとチョコファッション(上段左からミスド、セブン、下段左からローソン、ファミマ、サンクス)

 まずは見た目だが、大きさが全然違う。完全な円形ではないので一番長い部分の直径で比べると、セブンだけが9cmで、ミスド、ローソンが10cm、ファミマは12cmでサンクスは11cm。生地の割れ方もセブンだけが著しく、セブン以外の袋入りのほうがミスド似。生地の味もミスドと3社の袋入りは実によく似ていて筆者には同じに感じられたが、セブンの生地はごつごつしていて硬め。ザクザクしているともいえるが、キメが粗い印象を受けた。

 コーティングされているチョコレートは、ローソンだけがビターでミスド、セブン、ファミマ、サンクスはミルク系。このうちセブンは若干薄め。ローソンはビター系だから目隠しされてもわかるが、他の2社はミスドとの判別は難しい。

 というわけで、チョコファッションとのそっくり度はファミマとサンクスが同率首位。ちなみにカロリーはミスド353、セブン339、ファミマ495、サンクス492。

(2)ふんわりリング

 お次はふんわりリング。ミスドだとハニーディップとシュガーレイズドが近いが、シュガーシロップのコーティングモノなので今回はハニーディップで比較してみた。袋入りでこの商品のそっくりさんを出しているのはローソンだけなので、ミスドのハニーディップ、セブンのふんわりリング、ローソンのシュガーで比較してみた。

 まずは大きさだが、これもミスドが直径10cm、セブン9cm、ローソン10cmとセブンだけが小さい。生地はミスドが一番しっかりしてはいるが、3つともほとんど差はない。だが、コーティングに使われているシュガーシロップの味がまったく異なり、ミスドは名前の通りハチミツ味。セブンとローソンは普通のシュガーシロップだが、セブンのほうが味は薄い。コーティングの厚みではローソンが一番。見た目も味もこれだけ違うと、おそらく誰でも見分けはつく。筆者個人の主観では、ハチミツ味のインパクトが強いミスドがイチオシ。

(3)もちもちスイートリング

 次はもちもちスイートリング。ミスドならポン・デ・リング。コンビニではローソンのもっちリングきなこ。

 肉眼だと大きさはわずかにローソンが小さそうに見えるが、定規で測ってみると実は3つとも同じ。シュガーコーティングの厚みはローソンが一番薄く、セブンが一番厚い。シュガーシロップの味は、ミスドがハチミツ味、ローソンがきなこブレンド、セブンが普通のシュガー味だが、やはりセブンの味は薄め。

 生地の弾力自体に大きな差はない気がするが、セブンの生地はわずかに塩気が効かせてある気がする。シュガーシロップの味はそれぞれまったく違うし、見た目も違うので、これもおそらく誰でも見分けはつく。筆者個人の主観でいえば、これもハチミツ味がインパクト抜群なのでミスドがイチオシ。

 同じ形状でいちごチョコをコーティングしたものでは、セブンが関西限定で売っているもちもちいちごリングが、ミスドのポン・デ・ストロベリーや、ポン・デ・リースストリベリーによく似ている。ただ、東京では売られていないので、ミスドとコンビニ2社で比較してみた。

 大きさはミスドとローソンが直径10cmでファミマだけが11cm。生地はプレーンのバニラで食感はほぼ同じ。ただ、いちごチョコの部分はミスドとローソンがほぼ同じ味でやや薄め。しっかり味がするのはファミマ。デコレーションは今売られているものがクリスマスバージョンなのでミスドも派手めだが、ファミマはミスドを上回る派手さ。筆者個人の主観で言えば、ちゃんといちごの味がするファミマが一番おいしい。関西で売られているセブンのもちもちいちごリングは、見た目はローソンのバージョンとほぼ同じ。ミスドが通常バージョンに戻せば、ミスド、セブン、ローソンはほぼ同じ外形だ。

 ちなみに、セブンはオールドファッションにいちごチョコをコーティングしたいちごチョコオールドファッションを販売しているので、このいちごチョコと比較してみると、セブンのいちごチョコの味はミスドやローソンと同程度で薄めだ。

(4)エンゼルフレンチ

 フレンチクルーラーにチョコがけしたミスドのエンゼルフレンチのそっくりさんは、セブンからは出ておらず、コンビニではローソンとファミマが出している。

 まず大きさが全然違い、ミスドは直径8cmでコンビニ2社はともに9cm。中身のクリームはミスドがホイップのみ、ローソンがカスタード+ホイップで、ファミマがカスタードのみ。基本のシュー皮のおいしさは湿り気度に反比例する。生地のおいしさではミスドが断トツ。ローソンのホイップは少ししか入っていないので、ほぼカスタード味。コンビニ2社のカスタードの味は、ほぼ同じ。

(5)ダブルチョコレート

 最後はミスドとセブンが一騎打ちになっている、ダブルチョコと、エンゼルクリームのそっくりさん。

 ダブルチョコはミスドセブンともに同じ名前。サイズもほぼ同じだが、表面にミスドがチョコレートクッキーのクランチをまぶしているのに対し、セブンはなし。生地の味もチョコの味もほぼ同じ。クッキークランチだけが見分けるポイントだろう。

 エンゼルクリームとホイップは、表面の揚げ色がセブンのほうが濃く、ミスドは碁盤目状に模様が入っているが、セブンは模様なし。生地の味も中身のクリームもほぼ同じ味だが、クリームの分量ではセブンに軍配が上がる。

ハイレベルな山崎製パンの袋入り

 味の好みは人それぞれなので、支持するドーナツも人それぞれだろうが、もっぱら筆者の主観で言わせてもらうなら、味の面でセブンにアドバンテージがあるものはほとんどない。ホイップのクリームの量も、ナイフで切って比べてみたらセブンの方がミスドより多かったというだけで、普通にかじったら気づかない気がする。

 そして今回あらためて思ったことは、山崎製パン製のコンビニ袋入りバージョンのレベルの高さだ。明らかにミスドに負けているのは、フレンチクルーラーのチョコがけものだけだと筆者は思う。

 袋入りでこれだけのレベルを出せるのなら、わざわざ専用ボックスを使う意味がどこまであるのかと思ってしまう。セブンの製品は店舗で揚げているわけではないので、アツアツというわけではない。第一アツアツじゃ、チョコもシュガーコーティングもどろどろに溶けてしまう。冬場だからだろうが、買ってすぐ食べても1日置いても、味の劣化はほとんどない。

 2年前、サンクスのある店舗がレジ横の専用ボックスでオールドファッション、ポン・デ・ショコラ、ポン・デ・ストロベリーのそっくりさんを販売していたが、1カ月ほどで撤去されてしまった。店長によれば「売れなかった」のだそうだ。

 今回のセブンの場合、これだけ話題になっているので発売当初は大いに売れるだろうが、問題は継続的に売れるのかどうかだ。果たしてドーナツはコーヒーに続く2匹目のどじょうとなるのか。東京で販売が本格的に開始される年明けが楽しみだ。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

伊藤歩/金融ジャーナリスト

伊藤歩/金融ジャーナリスト

ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計。主な著書は『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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