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マクドナルド、「これ」をやっただけで人手不足解消→店員の採用数が3倍に

文=Business Journal編集部
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マクドナルドの商品

 日本マクドナルドは今月、店舗従業員の髪色を自由にすると発表したが、事前にテスト導入した店舗では前年の約3倍の人数のクルーを採用できていたことが注目されている。多くの業界で人手不足が深刻化するなか、全国で約20万人のクルーを抱える大手外食チェーンである同社の試みを受け、髪色自由化の動きは広まっていくのか。また、なぜマクドナルドは髪色自由化に踏み切ったのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。
 
 毎年秋の恒例メニュー「月見バーガー」シリーズで賑わいをみせているマクドナルドは、全国に約3000店を展開。モスバーガー(約1300店)、ロッテリア(約300店)、バーガーキング(約200店)を大きく引き離し、店舗数ベースでは圧倒的なハンバーガーチェーン業界1位であり、国内外食チェーンとしても1位だ。それだけにマクドナルドの動向は外食業界全体に影響をおよぼす可能性があるが、ここ最近で大きな話題を呼んだのが店舗クルーの髪色の自由化だ。

 マクドナルドはクルーと呼ばれる店舗アルバイト従業員の「髪色」「つめ」「ユニフォーム」など身だしなみに関して「アピアランスポリシー」で基準を定めている。例えば「清潔感のある髪型」や「接客のプロとしてのメイク」を義務づけている。これらはお客へ不快感を与えないためのものだが、料理への異物混入を防ぐ目的で「装飾品は身につけない」「ひげをきれいにし、もみあげは短く清潔に」といったルールも定められている。マクドナルドはこのたび同ポリシーの一部を改訂し、髪色を自由にした。

 注目すべきは、その効果の大きさだ。テスト導入をした天王寺北口店(大阪府)では、今年4月には昨年よりも約3倍の人数のクルーを採用することができ、クルーの人数が昨年同月比で30人以上も増加したという。

基準を緩和せざるを得なかった背景

 マクドナルドがポリシーを改訂した狙いについて、外食チェーン関係者はいう。

「飲食業は『キツイ』『臭いがつく』というイメージが定着していることもあり敬遠されがちなので、全業種のなかでも特にアルバイト従業員の確保に苦労しており、ここ数年、各社は採用の基準を徐々に緩和しています。そのため、スターバックスコーヒーをはじめとするカフェチェーンや居酒屋チェーン、牛丼などのファストフードチェーンでは茶髪など髪の毛を染めた店員も珍しくなくなりました。外食チェーンは各社でアルバイトを奪い合っている状況なので、『茶髪NGだから』という理由でマクドナルドが避けられるようになると、同社にとっては死活問題となってくるため、基準を緩和せざるを得なかったというのが大きな理由でしょう。

 もっとも、髪色は自由になったとしても、飲食店においては客に不快感を与えないというのは重要な要素なので、現在も多くの外食チェーンでは男性従業員であれば耳に髪がかかったり、過度に髭が長かったりというのは禁止されていると思います。

 髪色を自由にしただけで以前より3倍も多くのクルーを採用でき人手不足を解消できたというのは、かなり驚きです。髪色のポリシーが原因でマクドナルドで働くことを避けていた人がそれだけ多いというのは想定外でした。髪を染めている人が色を落とすというのは、非常に手間がいることですし、プライベートで演劇やバンド活動などに力を入れている人や、美容系の専門学校に通う人のなかには髪を染めざるを得ない人も一定数いるでしょうから、求人に応募してくれる母数を増やす意味でも効果は大きいのかもしれません」

消えた「スマイル0円」

 背景にはサービス業における接客をめぐる変化もあるという。

「カスハラというキーワードがクローズアップされるなど、サービス業ではお客が店員に横柄な言動を行ったり、無理な要求をするといったことは批判されるべきという風潮が強まっており、店員がお客に過度に丁寧なサービスを提供したり下手に出るということが見直されつつあります。それは、多くの日本人が飲食店や小売店でも実感し始めていることでしょう。マクドナルドでいえば、これまで『スマイル0円』がキャッチコピーとして有名で、かつてはレジカウンターの上に掲げられたメニュー表示盤にも記載されていましたが、現在ではまったくアピールしていません。昨年には『スマイルあげない(「No Smile」)』キャンペーンを展開しましたが、これは『低価格で一定のクオリティの料理を提供し続ける代わりに、もう従業員に笑顔や高い質のサービスまでは求めないでくださいね』というマクドナルドからのメッセージだと受け取れます。

 こうしたムーブメントに加えて、ここ数年は多くの企業が個々人の『自分らしさ』を強調する広告やPR活動を展開しており、それは消費者側だけではなくワーカー側も自分らしくあるべきという文脈で語られています。採用面接でも『服装・髪色は自由なので、普段のあるがのままの自分で来てください』とする企業が増えています。そして『お客と店員が対等な関係であるべき』という価値観が浸透し、特にそれほど価格帯も高くなく気軽に利用される外食チェーンにおいては、客側も店員の髪色を意識するようなことはなくなりつつあるのかもしれません」(外食チェーン関係者)

(文=Business Journal編集部)

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