ユニクロの店員と称するXユーザーが「感謝祭は売れない商品ばかり値下げしている」と投稿し、関心を集めている。SNS上は「セールってそんなもん」「当たり前で誰でも知ってる」などと投稿に反論する声が多いが、それでも店員はあまりにも多くのお客が来店するために大混雑するとして、「期間中は店に来ないでほしい」と異例の懇願。アパレル関係者は、売れない商品の販売を促進するために行うセールもあるが、年末などに購買意欲をかきたてるために行うセールなど、さまざまな狙いがあると指摘する。
今年、ブランド生誕40周年を迎えたユニクロは11月22~28日、秋冬の一大セール「ユニクロ感謝祭」を開催している。ユニクロは感謝祭を毎年5月頃と11月頃の2回、開催しており、ファンの間では定番となっている。さらに、年末年始には「ユニクロ年末祭」「ユニクロ新年祭」といった大型セールも行っている。
そんなユニクロ感謝祭の真っ最中に、ユニクロ店員と目さる人物が水を差すような発言をX上に投稿し、話題になっている。その内容は、「ユニクロ感謝祭、働いている側から言うと、実は売り上げ見込みの低い商品ばかりを値下げして、人気商品はほとんど値下げされない。だから『感謝祭』というより、むしろユニクロ側にとっての販売促進の大チャンスってわけ」というもの。
この投稿を受けてX上では「大売出しと福袋なんてそんなもんやろ」「そりゃそうだろうけどわざわざ言うなよ」「そんなの知ってるんだよユニクロユーザーはだから買うもんねえって言ってるのに」「セールってそういうもんだろ」など、当然のように多くの人が知っている情報だとの声が続出。一方で、「でも感謝祭のお菓子とタンブラーもらえるから…」「今年は店舗ごとに違う銘品プレゼントがもらえる」「1万円以上買うともらえるステンレスボトルほしい」など、販促グッズに興味を示す向きもある。
ユニクロ感謝祭は人気商品も値引きされている?
実際のところユニクロの感謝祭は、あまり売れ行きの良くない商品を売るための販売促進会という色合いが濃いのだろうか。アパレル業界の関係者は「多くのチェーン店で行われているセールは、その意味合いが強いが、ユニクロは人気商品も値引きされているほうだ」との見方を示す。
「ほとんどのアパレルチェーン店で、セールの際には売れ行きの悪い商品、店側が売りたい商品の価格を下げます。ほっといても売れる人気商品は、値段を下げる必要がないので、多くの場合は値段を下げません。下げたとしても割引率はわずかです。しかし、ユニクロの感謝祭は人気商品もいくつか値下げしていますよね。売れ行きの悪い商品しか値下げしないと、お客さんが集まらないので、セールをする際には“目玉”となる商品を用意するのが定石といえますが、ユニクロはこの時季の人気商品である『ヒートテック』『メリノリブタートルネックセーター』『ハイブリッドダウン』などを安売りしています。もちろん、値下げしない商品もありますし、売り切りたい商品は値引き率が大きいという傾向も見て取れます。
ただ、ユニクロ感謝祭の場合は、他社のセールに比べて“在庫一掃セール”といった意味合いは弱いように思います。むしろ、オンラインストアで毎週火曜日に行われている値下げのほうが、販売を促進したい商品といえます。もっと突っ込んでいえば、型落ちなどの“売り切りたい”商品が多いと思います。また、同じくオンラインストアで毎週金曜日には期間限定のセールが行われていますが、こちらは“今、販売を促進したい”商品で、比較的人気の高い商品でも対象になることがあります」
件の投稿をした店員は、多くのXユーザーから「当たり前すぎる情報」などと批判を受けたこともあり、その後にこう投稿している。
「あなたが知らないだけと言われたけど、実際はそんなことを知らないお客様がたくさん来ます。シフトを多めに入らざるを得ない上、来店されるお客様が多すぎて仕事がとても大変なんです。そのため『感謝祭期間中は買いに来ないでほしい』というお願いなんです」
感謝祭期間中は、非常に多くの客で混雑する。それはオンラインストアにはない“店舗限定”のサービスがあることも要因だろう。また、有名ブランドとのコラボ商品などは、店舗に並ばなければ入手できないため、購入希望者は店舗に殺到することになる。だが、店員にとっては、あまり好ましい状況ではないということなのかもしれない。
(文=Business Journal編集部)