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機密データを守りながらAI活用へ 日本発「秘匿AI」CODASの挑戦

2026.08.07 12:00 2026.08.06 23:15 企業
取材・文=福永太郎

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 2026年7月31日、一般社団法人AIデータ主権共創機構(CODAS)がローンチイベントを開催した。CODASは、機密データを外に出さずにAIを活用するための「Privacy-First AI」基盤の社会実装を目指す、日本発の非営利団体だ。データ主権を確保しつつ、組織間の安全なAI活用と競争を可能にすることを掲げている。イベントでは、CODASの目的や今後の展望、具体的な活動内容が紹介された。

AI時代の競争力を左右する「安心・安全」

 当日は、CODAS最高プロジェクト責任者の長谷川潤氏が登壇し、CODASの取り組みがAI産業において重要な理由を説明した。

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CODAS最高プロジェクト責任者の長谷川潤氏

 長谷川氏は、生成AIの活用が広がる一方で、機密データの扱いが本格導入の壁になっていると指摘した。そのうえで、CODASが目指すのは「安心して使える状態をどう実現するか」だと述べた。車にブレーキやエアバッグがあるからこそ安心して乗れるように、AIにも信頼性を担保する仕組みが必要だという考えだ。

 また、長谷川氏は、本当に価値を持つのは個人や企業が保有するデータであり、AI時代には「眠れる資産」が新たな知見を生み出す源泉になるとの考えを示した。

 一方で、利用規約や運用方法によっては、学習への利用やデータ保持が懸念されるケースもある。各国でプライバシーや秘匿性に関する規制が強まるなか、企業や利用者が個別に規制を確認しなくても済むよう、技術面で参入障壁を下げることがCODASの存在意義だと強調した。

日本のAI競争力をどう高めるか 経産省・渡辺氏が語る勝ち筋

 対談セッションには、経済産業省 商務情報政策局の渡辺拓也氏が登壇し、世界的なAI開発競争が激化するなかでの日本の立ち位置と、今後の戦略について語った。

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経済産業省 商務情報政策局の渡辺拓也氏

 渡辺氏は、少子高齢化による人手不足が深刻化する日本では、生産性向上が不可避であり、医療・介護などのエッセンシャルサービスを維持するうえでもAI活用が鍵を握ると指摘。AIは電力、半導体、データセンターといった基盤の上に成り立つインフラであり、日本はその土台を自前で整えやすい数少ない国だとしたうえで、国家の価値観を含めて構築すべきインフラを他国に依存することは、主権の観点からも課題があるとした。

 そのうえで、日本はアプリケーションなど上流領域に強みを持つ一方、AIの土台となる半導体やクラウド、基盤モデルといった基盤整備も官民で進める必要があると説明。AIの性能向上に欠かせない現場データは各社の競争力そのものであり、どこまでを共通基盤として扱い、どこからを各社が守る領域とするかの線引きが重要だとし、CODASにはその境界を技術的に支える役割があるとして期待を寄せた。

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イベントには、生成AI動画プラットフォームとして知られるRunwayの共同創業者・CEOのクリストバル・バレンズエラ氏も登壇。データ主権や著作権への対応をめぐる海外プレイヤーの実例も紹介された。

秘匿AIの社会実装を支える仕組み

 イベントの終盤では、長谷川氏よりCODASが進める具体的な実装内容が紹介された。

 CODASには大きく分けて「研究開発」「実装実証」「エコシステム」の3つのワーキンググループがあり、それぞれが「作る」「使う」「広げる」の役割を担う。研究開発では秘匿技術の高度化を進め、実装実証では企業との連携などを通じて現場での有効性を検証する。エコシステムでは、コミュニティ形成や対外発信を通じて社会実装の輪を広げていく。

 また、CODASはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/データの秘匿性を考慮した効率的なAI学習手法の開発」における実施者としても採択されている。NEDO事業への採択は、秘匿AIの社会実装に向けた取り組みが進んでいることを示す事例の一つといえる。

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当日はCODASのグローバルなコミュニティ運営のパートナーとして、世界最大級の起業家支援NPO「Endeavor」からマニー・アヤラ氏が登壇し、取り組みを紹介した。

 講演では、秘匿性の有無による違いにも言及があった。秘匿性がない場合、機密データの海外サーバー流出や学習データからの個人特定、規制対応のたびに発生するコスト増大、サービス停止リスクといった課題が生じる。

 一方、CODASが目指す「秘匿性あり」の環境では、データは自社管理下にとどまる。また、個人特定は数学的に不可能とされ、主要規制に自動準拠しながら、国内でデータ活用を循環させることも可能になるという。こうした秘匿技術は世界的にも需要が高く、プライバシー強化技術市場は年率30%近い成長が予測され、2035年には現在の約10倍規模に達するとの試算も示された。

 CODASの実装が進めば、企業は機密データを守りながらAIを活用しやすくなる。データ主権と実装を両立できるかどうかは、日本のAI競争力を左右する重要な論点となりそうだ。

(取材・文=福永太郎)

※本稿はPR記事です。

福永太郎

福永太郎/フリーランス編集者・ライター

ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。
福永太郎プロフィール

X:@fukunaga_taro

公開:2026.08.07 12:00