●流通大手は「オムニチャネル」を加速
ネットと距離を置いていた流通大手各社は、ネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル」で勝負に出る。
セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニのセブン-イレブン、スーパーのイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武までグループ20社で扱う約300万商品をネットで購入できるようにする。12年度に1000億円だったネット経由の売上高を、20年度には1兆円に引き上げる計画だ。
イオンは、実店舗の売り場とネットを連動させるサービスを進める。16年度までに、消費者が店頭(対象は約1600店)でスマホを使って撮影した商品の注文をネットで受け付け、即日宅配するほか、専用サイトに誘導して店頭で用意しきれない商品を販売する。
家電量販店最大手のヤマダ電機は、ネットから店舗へ誘導するO2O(オンライン・ツー・オフライン)を進めている。ネット通販の低価格攻勢で売り上げが落ち込むなど苦しい状況に追い込まれているが、ネットに軸足を移す。
こうした新規参入組がアマゾンや楽天との競争に勝つにはいくつもの課題があるが、中でも大きい課題は物流だ。
アマゾンは全国に巨大な物流拠点を整備して、当日配達、送料無料、時間指定などのサービスで業界をリードしてきた。楽天も物流センターを拡充してアマゾンに追いつこうと躍起だ。セブン&アイHDがオムニチャネル戦略の柱としているのが、全国約1万6000店のセブン-イレブンの実店舗。コンビニで品物を受け取ったり、コンビニから商品を届けたりする。
ネット通販の普及は、個人間でのECも推し進めた。スマホのカメラで商品を撮影し、個人のブログサイトを使って手軽にECができる新しいサービスが相次いで登場。消費者自身が売り主となり、個人を買い主としたいわゆるCtoCビジネスである。個人間取引には消費税がかからないため、4月の消費増税後はさらに成長が見込まれる。それゆえ、ネット通販業者はこうした個人プレーヤーをどう取り込んでいくのか知恵を絞っている。14年度、CtoC元年の幕が開こうとしている。
(文=編集部)