–福岡さんは、10年以上続いていた『情熱大陸』の5代目プロデューサーに、2010年に就任されました。本書によれば、就任直前の福岡さんはそれまで担当されていた番組が立て続けに終了して、やや仕事にあぶれ気味だったとのことですが、その福岡さんがプロデューサーに抜擢された理由はなんだったのでしょうか?
–各回で取り上げる人物の人選は、どのようなプロセスで進められるのでしょうか。
福岡 パターンが3~4個あって、一番多いのは普段お付き合いしている番組制作会社からの企画の持ち込みです。一般的に、ひとつのテレビ番組では5つくらいの制作会社が持ち回りで制作していくのですが、『情熱大陸』はオープンコンペ方式なので「どの制作会社が企画を持ってきてもいい」というスタイルなんです。
また、自分で調べて、スタッフに「条件が揃えばこの人でやってみたいから、ちょっと調べてみてくれませんか?」と言って、条件が合えばやることもあります。
つい先日取り上げた肺移植医の大藤剛宏先生は、これは初めてのケースだったんですけど、大藤先生から直接私宛てに手紙が来たんです。私も大藤先生が地元で有名だということを知っていたし、取材の条件が合えばやってもいいかなと思ったので、あるスタッフに調べてもらった上で判断して、やるということにしました。
あとは局内からの提案というのもあります。例えば報道局とかスポーツ局や制作局で、スケジュールが合えば自分たちでやりたいという企画を受けて、こちらで判断するというケースです。
–各回で取り上げられる人を見ていくと、AKB48などのとてもメジャーな人もいれば、世間一般的にはほぼ無名に近い人もいますが、どのような基準で選ぶのでしょうか?
福岡 この番組では、各界のナンバーワンの人をやるべきだと思っているんですよ。ただ、ナンバーワンにこだわりすぎると重鎮しかできなくなってしまうので、今一番注目されている人もやるべきで、有名無名を問うべきではないと思っています。そして、ラインナップとして無名ばかりでも有名ばかりでもよくないと思っていて、一応「今年の顔」は揃えたいということは意識しています。