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『情熱大陸』のつくり方~番組Pに聞く、テレビの今と将来「ネットと規制を“利用”する」

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–1回の放送時間は30分ですが、放送1回当たりの取材期間はどれくらいですか?

福岡 1週間程度のこともあれば、3年くらいのこともあります。長期間に及ぶ場合は、前向きな理由の場合もありますけど、なかなか撮れなくて順延していくパターンもあります。直近で長かったのは1年半くらい密着した農家の方でして、それは四季を通じて撮りたいという企画だったので長くなったし、取材に着手してからなかなかいいシーンが撮れていなくて2年以上たっているものもあります。

 逆に短いものでは、例えばフリーアナウンサーの小島慶子さんの回は、東日本大震災直後の1週間で撮影しました。

 1本1本が特番だと思っているので、「これだけの期間がないとダメ」というふうにはしていなくて、短期間で撮れるものがあれば短くてもいいと思っていますし、長期のほうが演出上いいと思えば、長期密着させていただくというかたちをとっています。

–常に並行して何本くらい取材は走っているのですか?

福岡 20本くらいですね。

●わざと出演者を怒らせている?

–『情熱大陸』は毎回切り口が違いますが、そういう演出やストーリーなどは、取材前に決められるのでしょうか? それとも取材を進める中で固まっていくのでしょうか?

福岡 両方あります。台本がないので、切り口を最初に決めてもなかなかそうはならないということが多々ありますし、逆に例えば韓国のアイドルグループ・少女時代の時には、「日韓問題は絶対に聞かないとダメ」など、「この切り口は絶対欲しい」というのは決めます。

–制作において、例えば出演される人自身や、タレントであれば事務所の意向が入ってくる場合もあるのですか?

福岡 基本的にプロモーション番組ではないので、フラットにやらせてくださいというかたちにはしています。

–確かに、『情熱大陸』では出演者が不機嫌な様子を見せたりするシーンなど、チェックが入ってたら絶対に放送されないだろうなという部分も見られます。例えば、AKB48時代の前田敦子さんの回では、ドラマの撮影現場で『情熱大陸』のカメラがドラマ撮影のカメラの後ろに行って前田さんの視界に入ってしまい、前田さんが怒って一時取材を拒否したり、女優の米倉涼子さんの回では米倉さんが着替えている時に質問されて苛立っているという場面が流れていました。こうした場面は、あえてちょっと怒らせるという演出なのでしょうか?

福岡 わざと怒らせたり貶めたりしたいわけではないです。別の番組になってしまいますので(笑)。例えば、前田さんのケースでは、その時に現場が一生懸命撮ろうと思っていたのが、たまたま前田さんの視界に入ってしまったというのが事実です。

 ただ、怒らせたいと思ってやっているわけではないですが、聞きづらいことは聞きます、ちょっと失礼に当たりかねないギリギリのことを。例えば、相撲の貴乃花親方の回では、「お兄ちゃんと最後に会ったのはいつですか?」「相撲協会とは、今どうなんですか?」とご本人に質問しましたが、その時期にそのタイミングで聞くのは、ある意味すごいニュースですよね。

–本書を読んで驚いたのは、放送当日の朝まで編集していることも多いようですね。

福岡 最近はギリギリになり過ぎて、会社が怒り始めていますけど、本当は3日前くらいまでの納品がテレビでは普通だと思います。しかし、東日本大震災の時の経験から、ナレーションはなるべく放送に近いタイミングで録らないと、収録から放送までの間に事態が変わってしまうこともありますし、世の中の空気が違っていたりすることがあると思うんです。1カ月前に完成したものを放送すると、なんとなく鮮度もモヤっとしてしまうので、放送時間に極力近いほうがテレビとしては正解かなと思うのです。

BusinessJournal編集部

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