先行したのはソニーだ。13年のシェアは金額ベースで23%弱のトップだったが、同年後半には韓国サムスン電子の追撃を受けた。年間を通してサムスンは12%弱のシェアで第3位だったが、北米市場では11月にサムスンがソニーを逆転したという。サムスン電子や中国勢の安値攻勢を受け、国内家電大手の薄型テレビ事業は軒並み赤字に転落したが、早くも4Kテレビも同じパターンになってきた。
巻き返しを図るソニーは、8機種の4Kテレビを投入する。サイズと価格は49型の32万円前後から85型の200万円前後までで、5月末以降、順次発売する。これまでは55型が最小だったが、一般家庭に設置しやすい49型をラインナップに加えた。また東芝は23万円前後で40型を発売すると発表した。
ソニーは4Kテレビに勝負を賭けている。台湾の液晶パネル大手、友達光電(AUO)や群創光電から4Kテレビ用パネルを大量に調達する。ソニーは映画製作子会社を持っており、4Kの映画ソフトとセットで販売する戦略を練っている。
●世界的な激しい価格競争の雲行き
一方、サムスン電子は「打倒ソニー」を宣言。ソニーより安い価格で販売攻勢をかけ始めた。サムスン電子によると、「13年10~12月の第4四半期に欧米25カ国で(ソニーを抜き)トップに立った」という。
韓国勢はウルトラハイビジョンという呼び名で4Kテレビを展開している。映画館のスクリーンのように画面の左右が前に出る形状の曲面型の新製品で、ソニーに対抗する。ソニーの4Kテレビは平面型のみであり、中国勢も平面型だから、現在、曲面型を売り出しているのは韓国勢だけということになる。
韓国LG電子も4Kテレビの機種を14年には3倍の16機種にまで拡充させる。曲面型と平面型の両面作戦を展開する。LG電子の49型は韓国の直営店で290万ウォン(約28万5000円)で売られている。中国・上海市内の家電量販店でソニーの55型4Kテレビは国内より安い1万7000元(約28万円)で売られているが、中国製はソニー製品の半値以下だ。スカイワース(創維)は7999元という低価格で販売しており、中国勢がこうした低価格の4Kテレビを輸出に振り向けると、国際価格はさらに下がるだろう。
薄型テレビと同じく、世界的に激しい価格競争に突入する雲行きで、ソニーの優位が長続きするかどうかは不透明だ。NPDディスプレイサーチによると、世界市場でも価格の下落は顕著で、65型で14年4~6月期は前年同期比52%下落する見通し。中国で現地メーカーの安い製品が販売されていることが、全体の価格を引き下げている。