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北越紀州製紙が大王製紙に統合を迫った背景とは?

北越紀州と大王統合で製紙業界に第3位連合 背後には三菱?

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 高雄氏が“天敵”である王子製紙に持ち株を譲渡することを考えたほど、経営陣と創業家の対立は激化した。

 創業家と経営陣の間に入って、仲介の労を取ったのが、北越紀州の岸本哲夫社長である。その動機を岸本氏は「王子製紙から株式公開買い付けを仕掛けられた折に安定株主となってくれた大王製紙には、恩義を感じていた」と語っている。

 北越製紙(当時、紀州と合併する前)は06年8月、業界首位の王子製紙から敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられた。この時、創業家が支配していた大王が、ホワイトナイトとして救いの手を差し伸べた。大王と北越が2~3%ずつ株式を持ち合う資本提携を結んで「反王子」の立場で支援した。このときの恩義に報いるために、岸本社長は仲介を買って出たわけだ。

 当事者同士の交渉は、感情的対立から、まとまる話もまとまらないことが多い。そこで今回は第三者の北越紀州が入り、創業家が持つ大王本体とグループ企業の株式を買い取った格好だ。大王本体の株式は北越紀州が保有し、グループ企業の株式は大王に再譲渡することで交渉をまとめた。

 創業家側は株式の売却で得た金を、大王の子会社からの借金とカジノの未清算金の返済に充てた。父親である高雄氏が、不肖の息子が作った莫大な借金を尻拭いしたわけだ。その結果、創業家は3代にわたり支配してきた大王の経営権を失った。創業家はグループ企業の役員も15日付で退いた。高雄氏は大王の顧問に復帰するが、経営に関与することはない。

 12年3月期の連結売上高は大王4089億円、北越紀州2305億円で、両社合算で6394億円。王子製紙(売上高1兆2129億円)、日本製紙グループ本社(同1兆424億円)に次ぐ業界3位連合だが、上位2社との差は大きい。そこで北越紀州と大王は近く提携推進委員会を設置し、将来の経営統合に向けて協議に入る。

 大王の売上高は北越紀州の2倍に近い。社風も異なる両社の統合交渉がスンナリまとまるのか? いずれにせよ、かねてから過剰設備が指摘されてきた製紙業界の再編の呼び水になるのは確実だ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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