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北越紀州製紙が大王製紙に統合を迫った背景とは?

北越紀州と大王統合で製紙業界に第3位連合 背後には三菱?

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post_577.jpg堅実そうなサイト。(「北越紀州製紙」HP、より)
 北越紀州製紙は8月15日、大王製紙の筆頭株主になった。議決権ベースで22.29%を保有したことになり、大王を持ち分法の適用会社とした。王子製紙、日本製紙グループ本社に次ぐ第3位連合が誕生する。製紙業界は、海外勢との価格競争が激しくなる一方で、両社は早急に提携の効果を出す必要に迫られている。

 北越紀州は大王製紙との株式取得交渉にあたって「将来の経営統合を視野に入れている」ことを伝えたといわれている。大王側も単独での生き残りは難しく、「1~2年後に経営統合に進む」との見方が有力だ。

 北越紀州の株式の25%を持ち、グループに三菱製紙を持つ三菱商事は、以前から第3極の形成に意欲を見せている。三菱東京UFJ銀行も北越紀州-大王の経営統合を後押ししている、との指摘もある。

 北越紀州が大王の筆頭株主になった発端は、11年9月に発覚した井川意高・大王前会長によるグループ会社からの借り入れだ。

「カジノで10億円勝ったこともあり、ギャンブルで金を取り返して返済しようと思った」

 カジノの負債の返済に充てるために、大王の子会社から計55億3000万円を無担保で借り入れ、損害を与えたとして会社法違反(特別背任)罪に問われた前会長・井川意高被告は7月18日、東京地裁で開かれた第5回公判の被告人質問で、こう証言した。

 カジノで作った借金の返済に、意高前会長の親、高雄氏は保有していた大王株式をすべて売り払い、3代続いた創業家、井川家による大王支配は終わった。「売家と唐様で書く三代目」そのままの愚行だった。

 大王の現経営陣は8月15日、北越紀州を介して創業家側から関連会社の株式を買い取ったと発表した。大王の連結会社の数は、意高前会長による巨額借り入れ事件をきっかけに経営陣と創業家側の対立が起こり、一時期、19社に減っていたが、これで事件前と同じ37社に戻った。

 また、意高前会長への貸付金の未返済分53億円と利息が、大王側に同日付で返済された。意高前会長は計106億円を引き出していたが、すでに返済した分を含め、全額が弁済されたことになる。事件発覚以来、大王の現経営陣が目指してきた脱創業家の手続きは、これをもって完了した。

 経営陣と創業家側が和解に動いたのは6月24日。大王の創業家のうち本家の4人が、保有する大王本体とグループ企業の株式を、まず北越紀州に譲渡することで合意した。このうちグループ企業の株式のほぼすべては、大王に再譲渡されることになった。

 保有株式を譲渡する創業家の4人とは、直系3代目の意高前会長、直系2代目で父親の高雄元顧問、母親の彌榮子さん、弟の高博取締役(6月27日の株主総会で退任)である。一族の総帥である高雄氏は、エリエール・ティッシュの生みの親で“中興の祖”と呼ばれている。

BusinessJournal編集部

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