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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第29回

プルデンシャル生命、勧誘時に虚偽説明と脱税指南か 契約者が契約無効申立と損害賠償請求を検討

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト

●脱税指南疑惑

 B氏は、プルデンシャル側の説明において「資産を個人に移転できる点」と「単純な利益の繰り延べではなく、税務処理後(納税後)の資産として利益確定できる点」にメリットを感じ、契約に至った。しかし後日、氏自身が保険商品の仕組みを調べていくにつれて、「そもそもの前提が覆るかもしれない」という疑念を感じるようになる。

 というのも同時期に、同じタイプの保険商品にまつわる裁判の存在を知ったからだ。そのケースでは、「養老保険の出口(満期)になってから個人に資金移動する際は、一時所得として課税しなければいけない」旨の判決が出ていた。B氏は、自分の保険も法律に抵触する可能性を懸念し、自らいろいろと調べ始めた。

 その結果見えてきたのは、本件の場合は保険の受取人をB氏個人と設定しているため、満期になるとB氏に満期保険料が支払われる。それを、当初のプルデンシャルの提案に従い、「途中で名義変更して個人に資産移転して、売却益を会社に付けない」という手法は、違法となってしまう。つまり節税ではなく完全に脱税だ。

 B氏は心配になり詳細な説明をC氏に求めたところ、「名義変更時の法人売却益については、養老保険は資産計上されないため帳簿に乗らない。よって売却益は発生しない」と回答があった。プルデンシャルの部長職を務める人物がそこまで言い切ったということで、B氏は信用した。

 その後B氏が同様の保険の税務処理について「養老保険の出口(満期)になってから個人に資金移動する際は、一時所得として課税しなければいけない」旨の判決が出たことに対して改めて説明を求めると、C氏は悪びれることもなく、「無税で個人に資産移転できるなどとは言っていない」と説明。不信感を抱いたB氏は担当変更を依頼し、後任担当にはプルデンシャル全社でもトップクラスのセールス成績のE氏が着任することになった。

 E氏には5年分の決算書と、現在加入中の保険資料をすべて提出し、本保険の扱い方法について打ち合わせを行い、「名義変更後に一時所得として課税される前提」でシミュレーションを組んでもらうこととなった。しかしこの段階でも、名義変更時に売却益が発生する説明はないままであった。

 この時点でのE氏の対応にも疑問が残る。もし名義変更時に売却益が発生するのであれば、どのようなやり方であっても節税にはならず、シミュレーション自体意味はない。すなわちプルデンシャルの提案は、売却益が発生しない前提によるものであった。つまりE氏は、「保険を継続させるために意図的に嘘をついた」のか、もしくは、「売却益が発生するという基本的な税務知識がなかった」のか、どちらかということになる。

 B氏はその後もプルデンシャル側の説明に沿って保険料を払い続けていたのだが、さらに調査したところ、名義変更時に売却益が発生することが確実であると判明した。要するに、今回提案された「会社から個人に名義変更して、売却益として会社に利益をつけない方法」というのが、そもそも最初から違法なやり方であったのだ。いわば節税ではなく脱税を薦めていたのだ。

 現在B氏はプルデンシャルに対して契約の無効を申し立てるとともに、損害賠償請求を検討している。

 本事案についてプルデンシャルのC氏、D氏、E氏に対して取材を申し込んだが、同社広報部門より「お客様の生命保険契約にかかわる事項についてのご質問にはお答えいたしかねます。ご理解のほど何卒よろしくお願いします」との回答が寄せられた。 
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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