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3つ目は、浅漬けの調味液という一度にすべての商品を入れてしまう汚染ポイントがあり、その液は加熱もされず、十分に洗われていない汚染されたキュウリが1本入っただけで、他のキュウリにまで汚染が広がる危険があります。しかも調味液には、大腸菌の餌になるアミノ酸や糖類が豊富に含まれています。加えて漬け込むための時間も必要になるので、結果として大腸菌の増加を防ぐことができない状況になってしまいます。
4つ目は、冷やしキュウリでは加熱調理がなされないということです。加熱するとたいていの食中毒原因菌は死滅しますが、前述した3原則のうちの「殺す」がなされません。
以上より、衛生管理基本3原則のすべてが守られない食品であるため、そもそもハイリスクな食べ物だったといえるでしょう。
こうした冷やしキュウリのリスクを下げるためには、上記4つのリスクを潰していく必要があります。1つ目は洗浄にオゾン水や次亜塩素酸水のような殺菌能力のある洗浄水で洗うことです。これはHACCP対応の食品工場で当たり前に使われている方法です。2つ目はO-157のリスクは常に存在していると考え、調理器具と食材を含めた衛生管理を徹底します。また温度管理も極めて重要です。3つ目は調味液を小分けにするという方法です。量販店などで売られている個別梱包の漬物の多くで採用されている方法です。4つ目は3つ目に関連しますが、調味液自体にO-157の増殖を抑えて殺すような食品保存料を加えるということです。加熱ができない以上ほかに方法がありませんし、強い効果が期待されます。
食品は自然でありのままがよいというわけではなく、正しく管理し、リスクを最小化するための合理的な方法を選択すべきだといえます。
(文=有路昌彦/近畿大学農学部准教授)
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