高宮学園は、閉鎖する校舎やその不動産をホテルなどにリニューアルして再活用する方針を検討しているが、「これまでは学校法人として税制面で優遇されてきたが、今後不動産事業を収益の柱にするのなら、もはや学校法人とは認定できない。一般の不動産会社と同様の課税措置が適用される」(国税関係筋)との見方が国税内で浮上し、課税強化を検討しているというのだ。
かつては「駿台予備学校」「河合塾」と並んで三大予備校と称されていた代ゼミだが、人気講師の授業などコンテンツの強さで急成長を遂げる「東進ハイスクール」と繰り広げてきた生徒争奪戦に敗退。「この不況時代に浪人などさせていられる裕福な家庭はごく一部」(予備校業界関係者)といわれる今、浪人生を中心とする生徒構成も収益構造にマイナスに作用し、代ゼミの経営は急速に悪化していた。このため、都市部の校舎だけを残して全国の校舎を大幅整理し、講師400人を対象に希望退職を実施することを決めた。
6年前には本部校舎として東京・渋谷に27階建ての高層ビルが建設されたが、代々木駅前の旧本部校舎を商業施設として活用しているほか、京都駅前の学生寮を高級ホテルに衣替えするなど、積極的な不動産事業に乗り出している。さらに、全国の地方校舎をホテルなどに生まれ変わらせて再活用する計画を進めている。そんな高宮学園の不動産活用方法に、国税当局は疑念を抱いているという。
高宮学園の場合、校舎を商業施設やホテルなどに活用した後でも、その建物の一部に予備校の教室機能を残しており、あくまで「教育施設」として税金を免除されていることに、国税は「適切とは考えられない」(前出国税関係筋)と疑いの目を向けているというわけだ。
●国税が狙う本丸
国税は今後、代ゼミが閉鎖校舎をホテルなどとして再活用する場合、その使途を厳格に判断する構えでいる。そのうえで校舎が事業用不動産として実質的に使用された場合には、一般企業と同じ課税措置を講じる方針であり、関係筋によれば、すでに国税が高宮学園の不動産登記などの調査を開始しているという。全国紙デスクが指摘する。