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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!第3回

食べログ、圧倒的強さの秘密?やらせ騒動を、管理体制徹底やレビュアーとのオフ会で克服

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー

 その後、「Yahoo!オークション(現ヤフオク!)」のエンジニアをしていた友人がチームの一員として加わり、ようやく本格的に稼働する準備が整っていく。

 本格稼働へ動き始めた食べログだったが、いきなり逆境を迎える。05年5月、価格.comがサイトアタックを受けて10日間閉鎖するという事件が発生したのだ。食べログもその余波を受け、同年8月の完全復旧まで閉鎖せざるを得なかった。

 出鼻をくじかれた格好だったが、村上氏のグルメサイトへの思いは変わらなかった。熱意を持ち続けることができた理由を村上氏に聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。

「食べることが好きだったからです。そして、すでにあったグルメサイトの情報に不満を持っていました。実際にアンケートを取ってみると、8割の人がお店選びに失敗したと答えていました。どうしても、本音の情報を提供するグルメサイトをつくりたかったのです。私が一番、それに興味を持っていました」

「ビジネスの可能性を信じていたから」ではなく、「好きだから」「興味があるから」という言葉が返ってきたのには少々驚いた。しかし、これこそがビジネス成功の要諦である。儲かるから、流行だから、という理由でビジネスを始めると、逆境に遭うと気持ちが折れてしまいがちだが、好きであるからこそ、あきらめずに続けるエネルギーが生まれるのだ。

 故松下幸之助氏(パナソニック創業者)が、「成功するには成功するまでやることだ」と語ったのは有名だが、成功するためには失敗しても挑戦し続ける胆力が必要であることを意味しており、その原動力は間違いなく好きであることなのだ。

●やらせ口コミ騒動

 話を戻そう。食べログは、口コミをベースにしたグルメサイトとしてスタートした。村上氏が言うように、多くのグルメサイトはお店が広告費を出して掲載しているものがほとんどで、実際に食べてみるとお店の宣伝内容とは異なる感想を持つ消費者が多かった。食べログでは、実際にお店を訪れた人の口コミだけでなく、お店の写真や料理の写真も複数枚投稿できるようにして、食を愛する人がつづるブログの集合体のようなサイトを目指していった。

 スタート時は村上氏の友人知人に頼んで口コミ情報を投稿してもらったが、そのうちに有力なブロガーが口コミ情報を投稿してくれるようになり、06年には月間利用者100万  人を超え、10年には同1500万人を超えるまでに成長した。お店側の情報を一方的に流すサイトではなく、ユーザーによるユーザーのためのサイト、というコンセプトが多くの人に支持されたといえる。

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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