旧損保ジャパン社員は「持ち株会社が発足した2010年に当時はやっていた横文字を取り入れ、社名に日本興亜(NK)と損保ジャパン(SJ)を重ねたのだが、両社の持ち株会社として認識されているとはいえなかった」と語る。こうした声を受け、中核損保2社の合併を機に社名を変更したのだが、今度は長すぎるという問題に直面したというわけだ。
「HD傘下の生命保険は9月、『NKSJひまわり生命保険』が『損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険』に社名が変わったが、長すぎて社員も当初は電話応対で笑いをこらえるのに必死だった」(同)
長すぎるという以外にも「損保ジャパン日本興亜ではジャパンと日本で意味が重複している。損保事業はグローバル展開を標榜しているが、海外で不思議に思われないのか」という指摘が社内から出ている。そうした中での略称の発表だっただけに、「新会社発足の9月に発表すればよかったのに」とのもっともな指摘も聞こえてくる。
だが、そこには複雑な事情が見え隠れする。競合他社の幹部は語る。
「中核損保新会社、損保ジャパン日本興亜の二宮雅也社長は日本興亜出身。持ち株会社の旧名称の『NKSJ』で日本興亜を指す『NK』が先に位置している。しかし売上高に相当する収入保険料は損保ジャパンが1兆4000億円を超えるが、日本興亜はその半分以下。合併すれば損保ジャパンが日本興亜をのみ込むかたちなのは明らか。ためらいを見せていた日本興亜側を懐柔するために社名を配慮し、同社に社長の椅子を譲ったのです」
●肩身の狭い日本興亜出身社員
実際、合併で新会社が発足した今となっては、ノルマが厳しく積極的な営業活動で知られる損保ジャパンが本性をあらわにし、日本興亜出身の社員は肩身の狭い思いをしている。同社出身社員は次のように嘆く。
「9月の合併前に早期退職募集が行われましたが、絶対数が少ないはずの日本興亜社員が目立った。また、合併を見据えて4月に管理職を一本化したのですが、実質降格したのは日本興亜の社員が多い」