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ローソン、打倒セブンの差別化戦略破綻か 新業態が使い勝手悪さで軒並み失敗

文=福井晋/フリーライター

 当時の比較データがないので詳細は不明だが、セブンの出店は狙いを定めた計画的なドミナント出店(特定の地域への集中的な出店)で、対してダイエーは全国制覇を果たしたとはいえ分散出店。この出店戦略の違いが収益力の開きを生んだ。セブンが消費者に対する認知度・来店頻度の向上、多頻度小口配送の効率化などで収益力を高めていたのに対し、ローソンはそれらすべてで劣っていた。

 都道府県内の既存店が偏って同一商圏内で客の奪い合いをしたり、逆に離れすぎていたりと、無駄が多かった。実際、先の00年3月末現在の比較では、セブンの店舗数が100店以下の都道府県は6エリアしかないのに対し、ローソンのそれは28エリアにも達している。つまり、全国6割のエリアは店舗網がスカスカでセブンと競争にならなかったといえる。

●新業態はセブンと戦うための搦め手の出店戦略

 ダイエーが経営危機で01年にローソンを三菱商事に譲渡し、三菱商事から送り込まれた新浪剛史氏が02年に社長となり真っ先に取り組んだのが、ダイエー時代の負の遺産の整理だった。

 不採算店の閉鎖や既存店の立地替えで、出店のドミナント化を図った。また、ダイエー時代になおざりだった商品開発力の強化を図り、「おにぎり屋」「ごはん亭」などのヒット商品を開発した。これが現在の強みである「食のローソン」の方向付けになった。

 これら当面の経営改善策と並行して進めたのが、マルチフォーマット(多業態)出店だった。これはダイエー時代の無計画な分散出店でセブンに大きくつけられた差を短期間で縮めるための搦め手の出店戦略といえる。ローソンの出店をこれから加速し、出店数で競争しても、濃密なセブンの店舗網には太刀打ちできない。ならば「業態差別化でセブンと戦い、成長を目指そう」というわけだ。

 かくして05年5月、同社は100円ショップとコンビニを組み合わせた新業態、ローソンストア100(発表時はストア100)の出店を開始。これにより主力の通常型コンビニ・ローソン、女性をターゲットにした既存の健康指向型コンビニ・ナチュラルローソン(01年7月から出店開始)と合わせ、3業態のコンビニを揃えた。当時のニュースリリースで、同社は「複数のフォーマットによって、地域や客層などに合わせた柔軟な店舗展開が可能になり、これまで取り込めていなかった消費層を獲得していきます。これにより、ローソングループ全体が成長する形を整えます」と説明していた。

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