同社が1月9日に発表した2015年2月期第3四半期連結決算(14年3月―11月)は、営業利益が前年同期比9.1%増の598億円、最終利益が同8.1%増の329億円となるなど、全体の業績は好調だ。しかし、その陰で同社成長戦略の核となっているコンビニエンスストア新業態の大半が不振に陥っている実態が浮かび上がってきた。
その典型が、昨年2月20日に神奈川県横浜市内で1号店を開業したコンビニ型スーパーマーケットのローソンマートだ。エンターテインメント系情報サイト「ウレピア総研」のレポートによれば、開業初日は「開店から30分後には約130人が店外に行列」をつくるほどの人気ぶりだった。1号店開業に合わせてローソンが発表した同日付ニュースリリースでは「地域に密着した『進化型コンビニ』、16年度末までに東名阪を中心に500店舗新規出店」とうたっていた。ところが昨年11月末時点での店舗数はわずか38店しかない。
「開業初日の来店客数は約2500人、開業から1週間後の平均来店客数は約2000人/日」(流通業界専門誌「Value Creator」より)というロケットスタートをした1号店も「今は閑散としている。生鮮食品の品揃えが中途半端で、消費者からは『あそこへ買いに行っても、夕食の食材を揃えられない』との不満を聞く」(コンビニ業界関係者)という実態が、どうやら不振原因のようだ。
このほか、08年に調剤薬局・クオールとの提携で展開を始めた薬局併設型コンビニは13年度末に100店出店の計画だったが、14年末時点の店舗数は30店強。01年に東京・目黒区に1号店を開業したナチュラルローソンは、当初07年度末までに300~500程度出店するとしていたが、今年1月末時点の店舗数は116店にとどまっている。
09年にドラッグストア大手マツモトキヨシとの提携で「今後5年間で1000店を展開する」としていたコンビニ・ドラッグストアのハイブリッド型店舗に至っては、14年末時点でたった2店舗という惨状だ。
同社のコンビニ新業態は計画未達が多すぎるため、最近ではコンビニ業界内で「狼少年」と囁かれる始末だ。いったい何が誤算だったのだろうか。