同時にこの頃から、総合病院内に出店するホスピタルローソン、調剤薬局併設型コンビニ・ファーマシーローソン、ドラッグストア併設型コンビニ・ヘルスケアローソンなど、実験的業態開発も積極的に行っている。
「コンセプトは先進的だが、詰めがお粗末」
ローソンは高齢社会、健康、ダイバーシティ(多様性=女性の活躍)など、時代変化のキーワードに対する感性が鋭く、それにいち早く対応しようと新業態開発に挑戦し続けてきたが、なかなか成果に結び付いていない。
コンビニ業界関係者の一人は「新業態のコンセプトは先進的だが、詰めがお粗末」と指摘する。「それが成長エンジン筆頭格のローソンストア100において、典型的に見られる」と言う。
ローソンストア100は通常型コンビニとしては品揃えが貧弱で、チケット販売などの各種店内サービスも少ない。100円ショップとしても品揃えが貧弱。要するに消費者にとっては中途半端で、極めて使い勝手が悪いのだ。そこへ近年はイオンのまいばすけっと、マルエツのマルエツプチなどの小型スーパーが攻勢をかけている。ローソンストア100の業績不振は当然といえる。
その結果、13年度の日販(1日1店当たりの平均売上高)は、セブンの66万4000円に対してローソンは54万2000円で、差は12万2000円と、12年度に比べ1000円差が開いた。13年度の1日1店当たりの平均客数も、セブンの1060人に対してローソンは854人にとどまった。
コンビニ業界内では「20年頃には、今の『3強』から『1強多弱』になる可能性がある」との声すら出ている。
このままではセブンに引き離される一方だ。前出の流通業界関係者は「高齢化社会の課題を新業態開発で解決しようというローソンの姿勢は評価できる。だが、それで成果を出せなければローソンの努力は無に等しい」と、苦言を口にする。
ローソンにはコンセプト先行ではなく、地に足が着いたリアルな新業態開発力が求められている。
(文=福井晋/フリーライター)