●経営哲学や戦略を言語化
とびっきりHDは、この4年間に立て続けに8店を開業して、大阪府のデイケア事業者としてはトップクラスの売り上げ規模となった。同社の特長は、松田氏がプロ経営者としてしっかり「経営の原理原則」を押さえ、戦略的な経営を実践していることだ。
15項目からなる「とびっきり行動指針」を定め、スタッフと共有している。だから、ぶれない。そして、「人財採用のレシピ」や「感動レシピ」などを設定して運用している。つまり経営者の経営哲学や戦略を、しっかり言語化して示しているのだ。
「人財採用のレシピ」では(1)第一印象(2)適性(3)やる気が、いくつかの項目と共に掲げられている。おもしろいのは、高齢者施設だからこそ、若い美男美女サポーター(職員)が喜ばれるという点だ。
「面接でカネ(待遇)のことを聞く人は採用しません。弊社は働きがいを提供しますし、自らの貢献や成長に喜びを感じる人をサポーターに迎えています。ですから当初6カ月の採用としています。弊社の企業文化との適応を、しっかり観察するためです」
いかなるビジネスも営利事業の側面がある。しかし、松田氏はデイケア事業の社会的責任も強く自覚している。
「私たちは、緊急や異例の受け入れを断らない、というポリシーでやっています。私たちがお預かりをお断りしたら、そのお年寄りはどこへ行けばいいのでしょう。特殊ケースで介護しなければならないご家族の負担は、限界を超えてしまいます。今後は、デイケアを補完したりする関連事業への展開も考えています」
ベンチャーというとITなどのイメージが強いが、サービス産業で、かつ健康福祉の分野で戦略経営に打って出た、とびっきりHDの経営は注目に値する。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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