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コンビニ店員の名札、秘密と隠れた“効果” 実は偽名OK?客がストーカーになる危険も

文=東賢志/A4studio

コンビニ店員の名札、秘密と隠れた“効果” 実は偽名OK?客がストーカーになる危険もの画像1「Thinkstock」より
 インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の発達により、設定次第では名前を検索するだけで、個人の居住エリアや交友関係が特定されてしまうようになった。個人情報の管理が難しくなりつつある中、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、スタッフが名札を着け、レシートには店員名が印字されているケースもある。

 先日、スーパー勤務経験のある女性が、ブログで明かした体験が話題になった。女性は自分のフルネームが入ったレシートから顔と名前、住んでいる地域などを特定された挙げ句、ストーカー被害に遭ったという。女性は仕事中に客の男性から「○○ちゃん、今日は何時まで?」と本名で呼ばれ、退勤時にも待ち伏せをされたというから、かなりの恐怖だったに違いない。会社には、レシートの記名について「やめてほしい」と訴えたものの、「社の方針」との理由で一蹴されたようだ。

 また、大手外食チェーンのホールスタッフとして内定を得た男性は、やむを得ない事情から「(対外的に)本名を伏せて働きたい」と申し出たが、「社内規定により、フルネームを提示しなければならない」と言われたため、内定を辞退したとTwitterで明かしている。

店員の名前公開でトラブル回避、常連を生む効果も

 大手のスーパーやコンビニでは、多くがスタッフに名札着用を義務づけているが、これにはどういった理由があるのだろうか。レシートの件も含め、大手コンビニ本社の広報担当者に話を聞くと、こんな回答があった。

「名札を着けることで、スタッフがお客様とコミュニケーションを図れるというメリットがあります。コンビニの場合、利用者の大半が近隣住民な上、多くは通勤や通学の途中で立ち寄るなど、来店時間がほぼ決まっています。スタッフのほうも、勤務時間はローテーションである程度決まっているため、お客様によっては顔を覚えていただいたり、会話のきっかけにもなります。その結果、常連になってもらえるケースも少なくありません。つまり、結果的にトラブル回避につながるのです」

 お釣りを間違えたり、レジの二度打ちをしてしまうなど、コンビニの現場ではヒューマンエラーが少なからず発生してしまう。しかし、そういったミスが大きなトラブルに発展しないで済んでいるのは、「スタッフの顔と名前が一致している=顔見知りのような関係になれる」という理由もあるようだ。また、過去には小学生が下校中に不審者を見つけ、なじみのあるコンビニスタッフに助けを求めた事例もあるという。

店舗によっては、スタッフの偽名を許可

 今回、コンビニ大手5社をリサーチしたところ、ほぼすべてでスタッフが名札を着けていた。深夜帯になると、スタッフによっては着けていないケースもあったが、中にはキャリアやスキルをわかりやすく示す星形のシールが貼られているコンビニもあった。一方、レシートにスタッフの名前が記載されていたのは1社のみ。それも、「責:○○(名字)」という表示だった。そのほかは「責:No.000」「責:123」というふうに、スタッフに紐付けられていると思われる数字で示されていた。また、「担当者1」「レジ#01」といったパターンも見受けられた。

「レシートは後に残るものなので、最近はスタッフを数字化するレジが多く導入されています。名札に関しては、現場から『外したい』という声も少なくないようで、フランチャイズ店の場合、オーナーによっては偽名を許可している店舗もあります。これは、個人情報の管理が重要な時代に各オーナーの責任で行う判断として、本社も許容しています」(同)

 コンビニや一部のスーパーでは、公共料金や携帯電話料金の支払い、宅配物などサービスが多様化している。そこには、住所などの個人情報が記載されているため、利用者としては「名前もわからない他人に扱われるよりは、名前が明らかになっているスタッフがいい」と、安心材料の一つにもなるようだ。

 昔から、「名前を名乗る」という行動は、他者への礼節として重んじられてきた。個人情報と礼節を天秤にかけた結果は、そう簡単に出るものではないのかもしれない。
(文=東賢志/A4studio)

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A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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