「週刊エコノミスト」(毎日新聞社/12月2日号)は『競争激烈! 税理士・会計士・弁護士』という特集を組んでいる。「難しい試験に合格しなければなれない税理士、公認会計士、弁護士。しかし、合格すれば仕事は安泰という時代は過ぎた。時代の変化とともに業務はより複雑化し、専門性を身に付けなければ生き残ることはできない。さらに、市場のニーズと合格者数のミスマッチもあり、業界全体が大きな変革期を迎えている」という内容だ。
なかでも、いま注目が集まっているのが税理士だ。来年1月より相続税の基礎控除額が引き下げられ、課税対象者が増加する。相続税対策のアドバイスには税理士が欠かせない状況になってきた。
同特集において、ある若手税理士は次のように注意を訴えている。
「業界全体が浮き足立っている感じがある。もともと相続税は扱う税理士が少ない分野。税理士会などが主催する勉強会が開かれているけど、これまで扱ったことのない事務所も参入しようとしている。経験を積みたいので依頼は積極的に受けるだろうけど、相続税は扱う額も大きいし、顧客は注意して選んでほしい」
どの税理士に頼むかによって納税額は大きく変わる。特に相続税で納税額が億単位になると、1000万~2000万円程度変わることもあり得るというから注意が必要だ。
●競争激化の税理士、儲けのカラクリ
また、弁護士や公認会計士と並んで税理士も急増したことで顧客獲得競争が厳しくなっており、月額顧問料は低下傾向だ。
「かつては、中小・零細企業で『月額顧問料3万~5万円』『申告書作成料は月額顧問料の3~6カ月分』というのが大体の相場。『顧問先を20社確保し、1年に1回税務申告すれば何とか生活できる状態だった』。だが、税理士業界の広告規制は撤廃された。最近はインターネットで検索すれば『顧問料月額数千円』という広告がずらりと並ぶなど、報酬のディスカウントが進んでいる」(同特集より)
しかし、さすがに顧問料が数千円では税理士事務所の経営が成り立たない。
「顧問料が月1万円以下などの激安価格にはからくりがある。一つは安いのはあくまで顧問料で、これだけでは十分なサービスは提供しない仕組みだ。会社への訪問や記帳代行ごとに追加料金がかかって、結局高くつく。顧問料は月980円なのにトータルでは5万円くらいかかったという話も聞く。もう一つは、薄利多売でたくさんの顧客をとるが、税理士1人では回らないので、安い時給のアルバイトを雇って、ほとんど丸投げしてしまう」(同特集より)