「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/1月17日号)は、『保険激変!』という特集を組んでいる。保険が大きく変化したのは、2014年度上期の決算で“生命保険のガリバー”と自他共に認める日本生命保険(以下、日生)が、売上高に相当する保険料等収入で業界第2位である第一生命保険(第一)に逆転を許したことがきっかけだ。日生は2兆4682億円なのに対し、第一は2兆5869億円だった。
「ガリバー日生が、第一の後塵を拝した理由は何か。答えは単純明快。第一の子会社である第一フロンティア生命保険が、みずほ銀行を中心に、外貨建て個人年金保険を売りまくったからだ。第一の銀行窓販での売上高は約1兆円に上るが、日生のそれは約2200億円と第一の4分の1以下でしかない」(同特集より)
第一フロンティアが銀行窓販で売りまくっているのは、円預金よりも高い利回りが人気の外貨建て個人年金保険だ。「相互会社から株式会社に転じた後は、しばらく低迷が続いた第一だが、これまでまいてきた“種”が芽を出し始めた」(同)と、逆転につながった銀行窓販を評価している。
銀行窓販で特に人気が高い外貨建て個人年金は、「米ドルや豪ドルなど外貨を選択して、主にその外貨の国債などで運用することになる。保険料は一括払いで利率は固定。原資は外貨建てで利回りが確定する。死亡保険金は外貨建てで最低保証されるケースが主流」(同)という。
実際の売れ行きとしては、「昨年の売り上げの7割前後が外貨建てで、そのうち9割ほどが豪ドル建て」(同)というが、最近は米ドル建ても人気が高まっているようだ。
ただし、「アベノミクス前の円高水準に逆戻りすれば、為替差損が生じるため、目標利回りに達しない」(同)など、為替リスクがある。さらに、「途中解約した場合は、解約控除額などが差し引かれてしまい、元本割れするリスクもある」(同)といい、効率のよい運用かどうかは微妙なところだ。
銀行側にも外貨建て保険を売りたい事情があるようだ。「契約金額にもよるが、中には8~9%の手数料を受け取れる保険もあるという。人気の高い外貨建て保険も銀行側が高い手数料を得られる」(同)のだ。