A そうそう。クライマックスは帆高が陽菜を彼岸から連れ戻したってとらえることもできるわけでしょ。だったら空の上には陽菜のお母さんや須賀の奥さんとか、死んじゃった人がいてもいいよね。須賀が奥さんのことを思い出して泣いてるシーンもあったけど、あそこまでして、なぜ奥さんのことを回収しないんだ……。廃ビルに須賀が現れたのも、自分の大切な奥さんと会うために帆高の前に立ちふさがったのかと思ったのに。
新海監督は長編ではなく短編向き
C 須賀の奥さんも実は天気の巫女だった、みたいなほうが面白みはありますね。わけがわからなかったといえば、オープニングとかでちょこちょこドバーって雨が降ってきたりしてたじゃないですか。あれは意味不明でしたね。
B エキストラの少年たちまで登場させてあれを見せといて、結局特に回収しなかったからね。
A 家出少年が不思議な少女に出会う設定とか、序盤の展開はかなり乗れたんだけど、銃の拾い方といい、彼岸のこと、水の塊が降ってくること、雨に魚が混じってるとことか全然説明がない。全体的に展開が力押しだったから、なんかモヤッとする。
B 『君の名は。』ではちゃんと説明してたけど、今回はそれがなかったね。
A 『君の名は。』では説明してた、といっても解決の仕方が強引だったし、勢いで突破してる部分も多い。やっぱり新海監督ってそういうセンスの人なんだよなぁ。
B 今回観るにあたって(新海監督のデビュー作の)『ほしのこえ』(02年公開、上映時間25分)を見直してみたんだけど、絵なんか今と比べものにならないのに、めちゃくちゃ面白いんだよね。
A だから短編向きなんじゃない? 短編ならテーマをひとつに絞ればいいからハッタリがきくけど、長編だとごまかしがきかない。それが『君の名は。』に比べて設定とか展開にダイナミックさが足りない『天気の子』では粗が目立ってしまったと。結局、人柱にもなってないわけだしさ。
(構成=編集部)
※中編に続く
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